研究課題/領域番号 |
22H01622
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飛野 智宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90624916)
|
研究分担者 |
中島 典之 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (30292890)
山村 寛 中央大学, 理工学部, 教授 (40515334)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 膜分離活性汚泥法 / 凝集 / 嫌気性消化 / エネルギー回収 / リン |
研究実績の概要 |
小型循環膜ろ過試験装置を作成し、活性汚泥に対して特性の異なるカチオン系高分子凝集剤を添加して、膜ろ過性および活性汚泥性状への影響を検討した。全ての凝集剤において凝集剤そのものにより膜目詰まりが生じるものの、汚泥に起因する膜目詰まりが凝集剤により抑制される効果のほうが大きいことが示された。カチオン度が高いもしくは分子量が小さい凝集剤ほど膜目詰まり抑制効果が高い傾向があることが示唆された。汚泥微粒子のゼータ電位への影響は小さく、0.65~10μmの粒子数濃度の減少が顕著であり、高フラックス条件では通常条件よりもより粒径の大きい微粒子数の制御が重要となることを示唆する結果を得た。 嫌気性消化MBRでは、都市下水を模擬した人工下水を基質として有機物負荷を一定に保ちながらHRTを15日から1日まで段階的に短縮した。余剰汚泥と比較して溶解性成分の割合が高い下水の処理においても、HRT1日以下でメタン濃度95%以上の高品質消化ガスを回収可能であることが明らかになった。HRT1日においては処理水中のCODが約50 mg/Lまで低減された一方で、メタン発生量の減少も確認された。メタン発酵プロセスの加水分解反応が律速となることが示唆された。また、HRT1日以下で嫌気性消化MBRを安定運転するためには膜目詰まりの抑制が課題となることが示された。HRT1日以下において加水分解反応を促進するために、消化槽への微生物活性剤の添加をバッチ実験により検討した。消化汚泥のVSに対して1%の微生物活性剤を添加することで、メタン発生量が1.2倍となることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
凝集剤添加MBRでは連続リアクターを用いた検証が試運転の段階にとどまっているものの、バッチ試験装置を用いた条件検討は十分に進んでいる。嫌気性消化MBRでは、下水の直接処理においてもHRTの短縮による消化ガス中メタンの高濃度化が可能であることを実証できた。
|
今後の研究の推進方策 |
凝集剤添加MBRでは、連続リアクターを用いた検証をメインに進めながら、小型循環膜ろ過試験装置を用いたメカニズム検証を進める。加えて、凝集剤添加による嫌気性消化への影響およびリンの収支を検討し、プロセス全体での最適化に必要な知見を得る。嫌気性消化MBRでは、下水処理場において実下水を原水とした嫌気性の連続運転を活性汚泥法と同等の短HRT(8-24時間)で実施する。嫌気性消化MBRの連続運転において、微生物活性剤の添加によるメタン発生量の増加と膜目詰まり原因物質の低減可能性を検討を進める。
|