研究課題/領域番号 |
22H01628
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
川越 保徳 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (00291211)
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研究分担者 |
惣田 訓 立命館大学, 理工学部, 教授 (30322176)
井上 大介 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70448091)
伊藤 紘晃 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 助教 (80637182)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | Anamox / 部分亜硝酸化 / 一槽型 / 海洋性細菌 |
研究実績の概要 |
本研究は淡水性細菌群と海洋性細菌群の混合培養系による部分亜硝酸化-Anammox(Partial nitritation/Anammox:PN/A)の構築とその窒素除去能および特性の解明を主目的とする。 初年度である本年度は,本申請研究において新たに考案した懸濁態-生物膜混在型反応槽(Hybrid Bio-Reactor:HBR)を用いることで,これまで世界的に知見の乏しい海水性Anammox細菌バイオマスによるPN/Aプロセスの構築に挑んだ。 本研究では,PN/Aの立ち上げにあたって,まずはじめに上記HBRを用いて海洋性Anammox細菌バイオマスによるAnammox反応系を確立,安定化させた。その後,流入基質をAnammox反応に必要な亜硝酸塩とアンモニア塩から,亜硝酸塩の濃度を段階的に低くしながら処理水中の各態窒素濃度,DO,pHを指標として曝気条件およびpHを最適化することで窒素除去能を向上,安定化させた。最終的に,120 mg-N/Lのアンモニア塩のみを基質とする流入水についてPN/Aの構築に成功した。なお,Anammox反応槽からPN/Aの構築までに要した期間は約90日であり,窒素負荷は0.36 kg/m3/dで80%以上の窒素除去率を達成した。 細菌および古細菌を標的とするRibosormal RNAによる微生物叢解析の結果,反応槽内には主たる海洋性Anammox細菌と推定されるBlocadia Scalindua属細菌に加えてアンモニア酸化細菌であるNitrosomonadaceaeが検出された。また,反応槽内下部,中部,上部でそれら細菌群の存在比は異なっていることが明らかとなった。一方,古細菌は検出されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したように,淡水性細菌群と海洋性細菌群の混合培養系による部分亜硝酸化-Anammox(Partial nitritation/Anammox:PN/A)の構築に先立ち,初年度である今年度は懸濁態-生物膜混在型反応槽を用いることで,これまでに世界的に報告が一例しかない海洋性Anammox細菌によるPN/Aの立ち上げに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
現在,海洋性細菌によるPN/Aの構築には成功したものの,その後,窒素除去能の低下がみられることがあることから,長期にわたるPN/Aの安定な維持が第一の検討課題である。同時に,今年度は,淡水性AnammoxのみによるPN/Aの立ち上げに加え,海水性Anammoxバイオマスと淡水性Anammoxバイオマスの混合物を植種源として淡水性細菌群と海洋性細菌群の混合培養系によるPN/Aの構築に挑戦する予定である。
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