研究課題/領域番号 |
22H01646
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
藤田 正則 神奈川大学, 建築学部, 教授 (30449368)
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研究分担者 |
中村 慎 神奈川大学, 建築学部, 助教 (10839385)
中澤 祥二 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70314094)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 鋼構造 / リユース / 部材損傷 / 性能評価 / 設計法 / 非破壊試験 |
研究実績の概要 |
2023年度では,解体材を入手できたので,2022年度と同様に試験片を切り出し,要素試験(強制曲げ試験)を行った。損傷の種類として、外観からみた曲がり、ねじれ、反りなどの塑性変形した部材を想定し,解体材を用いて要素試験(強制曲げ試験)を行った。その際,正曲げ・負曲げ時の最少曲げ半径(建築工事標準仕様書 JASS 6)を参考に,強制曲げ歪(6%~30%)を与えた。その他の実験のパラメータは、鋼材の材質、板厚、正負曲げ及び曲げ戻し回数(リユースの回数)、表面硬度などである。 その結果,鋼材の引張強さ及び降伏強さは1回目の曲げサイクルにより大きく増加し,一様伸びは1回目の曲げサイクルにより大きく減少する。2回目以降の曲げサイクルでは変動が緩やかになり,曲げサイクル数の増加とともに一定へ近づく。また,塑性変形が要求される内側曲げ半径4t以上の曲げ履歴を受けた鋼材の引張強さ,降伏強さ,一様伸びは,最大で各々1.13倍,1.41倍,0.29倍程度である。 また,部材の損傷の程度が終局耐力や変形性能に及ぼす影響を明らかにするために,工場用途の建物から採取した部材をもとに柱梁接合部の実験を行い、部材レベルの損傷の程度(低減率)が柱梁接合部の終局性能に与える影響を検討した。その結果,1970年代の竣工した建物の柱梁接合部はフランジ部が部分溶け込み溶接であるため,層間変形角1/107で早期に破断した。これに対して新材で製作した仕様は層間変形角1/54で柱梁接合部のパネルゾーンの局部変形となった。溶接部の性能が劣る場合の低減係数は曲げ履歴と別に設定する必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1970年代に竣工した工場用途の建物から採取した鋼材が入手できたので,要素試験(強制曲げ試験)に加えて柱梁接合部を有するリユース材の実験を計画した。試験体は,1970年代の竣工した建物から採取したものに加えて新耐震設計法以降の仕様である試験体を製作した。これらの試験体を用いて柱梁接合部の実験を行い、部材レベルの損傷の程度(低減率)が柱梁接合部の終局性能に与える影響を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の実施した実験修了後の試験体より要素試験用の試験片を切り出し,塑性履歴を受けた鋼材の性能を評価する。解体材の柱梁接合部近傍の梁で部材角1/100rad時に,0.2%程度の曲げ履歴を受けている。これに対して新材の同じ箇所では部材角1/50rad時には3%程度の曲げ履歴を受けている。これらの実大実験で受けた曲げ履歴と要素試験で受けた曲げ履歴との性能比較(硬さ,降伏耐力,引張強さ,伸び等)を行う。さらに,リユースを想定し,非破壊試験を用いた性能の評価式を提案する。
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