研究課題/領域番号 |
22H01666
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
川田 菜穂子 大分大学, 教育学部, 准教授 (90608267)
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研究分担者 |
平山 洋介 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70212173)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 地方圏 / 住宅困窮 / 住宅セーフティネット / 住宅政策 / 立地不利 |
研究実績の概要 |
2022年度は、主として以下の2つに取り組んだ。 ①住宅困窮の概念・理論の検討:住宅困窮を的確に捉え、実態(量的)把握を行うための手法について検討した。これまで進めてきた住宅困窮の概念や実態把握手法の検討に継続的に取り組むとともに、地方圏における住宅困窮の特性をふまえ、新たな視座を得るために、居住支援協議会へのオブザーバーとしての参加や、居住支援法人を講師とする研究会等に参加した。また、地方圏の住宅困窮を捉えるにあたって今後重要になる立地不利について、とくに都市計画学領域で議論・計画されている立地適正化計画(居住誘導区域の設定)や、医学領域で注目されている地理的剥奪などに着目し、既往研究の収集や概念・指標の整理を行うとともに、利用可能な統計・地理情報データについて検討した。 ②地方圏における住宅困窮の量的把握:総務省が実施する住宅・土地統計調査、国勢調査、全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)の公的統計データを収集し、多次元の住宅困窮の実態をとらえるための検討を行った。今年度はとくに立地不利に着目し、国勢調査の小地域集計を中心とした統計情報の収集、整理を行った。また、住宅ポイントデータ(大分市)を入手し、地理・空間情報を活用した分析について検討した。 今年度は、概念・指標の整理や分析に必要な統計・地理情報等の把握や収集、整理にとどまったが、今後の詳細な分析に進むための準備を着実に進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、概念・指標の整理・検討、データの収集・整理に時間がかかったが、次年度以降予定している分析のための準備は、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、主として以下の2つに取り組む。 ①地方圏における住宅困窮の量的把握:住宅・土地統計調査・国勢調査・全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)や自治体等の公的統計データの収集を引き続き行い、さらにミクロデータの入手・分析(独立行政法人統計センターが提供する匿名データ及びオーダーメイド集計を利用)を通じて、多次元的な住宅困窮の実態や傾向を捉える。ここでは、可能な限り量的に把握することを目的とする。地域特性(人口規模、高齢化率、地形・立地等)に着目し、都市圏と比較した地方圏の住宅困窮のかたちを把握する。 ②地方圏における住宅困窮の地理的・空間的把握:主として大分市を事例として、住宅困窮の実態を地理的・空間的に把握する。大分市は地方の中核市であるが、市町村合併により農山漁村地域を含み、中心市街地(平地)、郊外(丘陵上の住宅団地)、中山間地域・沿岸地域の集落等から構成される。ArcGIS等の地理空間情報システムを利用して、地区別に居住者、住宅建物、都市計画・土地利用等のデータを分析し、住宅困窮の地理的・空間的偏在を把握する。
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