研究課題/領域番号 |
22H01670
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
谷川 竜一 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (10396913)
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研究分担者 |
冨田 英夫 九州産業大学, 建築都市工学部, 教授 (80353316)
川喜田 敦子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80396837)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 北朝鮮 / 朝鮮戦争 / 冷戦 / 都市 / 植民地 / ポストコロニアル |
研究実績の概要 |
本研究は、北朝鮮の都市・建築史を、日本植民地支配の影響、旧東側諸国からの建設援助の受容、そして韓国との近代化競争という三つの位相で捉え、そこに北朝鮮社会の内在的視座を掛け合わせることで、多元的にひらかれた通史として描き出すことを目的としている。 コロナ禍の制約下でも研究を臨機応変に進めることを狙い、この三つの位相を意識しつつ、適宜その重心を変えたり組合わせたりしながら研究を進める方針でいたが、初年度はウクライナ戦争なども重なり、東ヨーロッパでのフィールドワークや調査が難しくなった。そのため、日本植民地期の資料の収集や分析、また北朝鮮の映画や小説文化的な資料の分析・考察を進めることとした。さらに、背景となる冷戦期の人々の大規模な移動などを視野に、国際関係史についての研究なども進めることができた。研究会にも精力的に参加するとともに、年度末には他の科研費研究と共催で国際シンポジウム「東アジア近代住宅地の「理想像」を探る」を開催することができた。会議ではロシアの伝統的な都市計画技術である建築アンサンブルの考え方や、東側諸国の20世紀後半の建設援助などに関する研究発表を、本科研の研究協力者らに依頼し、実りある研究発表や討議を進めることができた。具体的な成果としては論文を2本(1本は査読あり論文、他1本は2023年度に掲載予定)作成・発表することができた。全体として、コロナ禍とウクライナ戦争という二重の問題に向きあいながら研究計画を柔軟に変更しつつ、研究推進を図ることが出来たと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍に加えてウクライナ戦争の影響もあり、東ヨーロッパ周辺での調査が難しくなった。研究全体としては柔軟に作業を再編成しつつ、研究を進めることができた。しかし後者のウクライナ戦争に関しては国際的状況は好転しておらず、戦争の長期化のなかで、先送りした当初計画の調査が今後できるかどうか不透明になっている。その結果、部分的な遅れがすでに出ているが、2年目以降は調査自体を変更し、別の角度からのアプローチを試みたい。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、当初の計画通り、植民地期の都市建設や、1940年代の解放後の日本人引揚者や朝鮮人帰還者らに関する探究、および1960年代の都市復興までを視野に入れて、北朝鮮地域の都市空間変容を進める。また、北朝鮮と関係した東側諸国として、東欧だけでなくアジア間関係にも視野を拡大し、調査や考察の可能性を探る。
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