研究課題
精密観測機器を衛星本体から伸展トラス構造を用いて分離する構造開発では大きな曲げ・ねじり振動が発生するため精密制振が必須課題である.能動制振に要するエネルギは膨大になるので能動制振の実装は困難である.そこで申請者は「圧電電荷を不変量」とする新たな状態モデルを構築し,振動状態の将来予測を初めて可能にした.一方,予測値には確率的な不確定性が含まれ,消費エネルギと制振性能に深刻な悪影響を与えることも明らかになった.そこで本研究では,申請者が独自に提唱し開発を進めている低エネルギ消費の準能動制振の制振性能を飛躍的に向上させる「振動予測技術」を確立する.特に「圧電不変量の確率的不確定性を考慮した外乱予測技術」を導入し,低エネルギ消費と高制振性能を両立する「次世代観測衛星のための確率的予測制振技術」を実現する.低エネルギ消費と高制振性能を両立する「確率的予測制振」を実現するための確率的予測制振理論の学術的研究及び実証が研究の大目的である.本研究では以下を明らかにした.【確率的不変量の特性(不変量の確定精度・変動幅)の解明】理論を通して,確率的不変量の確定精度を明らかにした.確率行列理論を用いて確率的不変量の変動幅を理論的に明らかにした.開発している周波数仮定に基づく外乱予測技術を用いて調和振動外乱を精密に予測するとともに振動予測の不確定性を減らした.10ベイトラス構造を用い,曲げ・捩じり・局所振動を含む複雑振動を生じるようにトラス構造を拡張した.実験と数値計算により,確率的不変量の予測原理に与える影響としてエネルギ消費量と予測性能を定量的に明らかにした.実績値に基づいた数値目標を達成できるかを明らかにした.(1)準能動制振に実行に必要なエネルギ消費量を3.0mW以下に抑えた.
2: おおむね順調に進展している
実験により定量的に比較して予測値の不確定性に抑えたにするなど,当初の計画通りに進んだから.
実験と数値計算により,確率的予測制振の制振性能(共振点制振性能・広帯域制振性能)を定量的に明らかにする.学習データに基づく機械学習を用いてランダム波外乱を精密に予測することで,振動予測の精度を高める.大振動の共振周波数加振において無制振時との加速度応答倍率比を 0.05 以下に抑える.微振動の50-200 Hz広帯域加振においてパワー密度スペクトルを 1.0 G2/Hz以下に抑える.
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件)
Mechanical Systems and Signal Processing
巻: 187 ページ: 109914~109914
10.1016/j.ymssp.2022.109914
巻: 187 ページ: 109906~109906
10.1016/j.ymssp.2022.109906