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2022 年度 実績報告書

高レイノルズ数空力予測の精度向上を目指した衝撃波/境界層干渉の先進画像計測

研究課題

研究課題/領域番号 22H01684
配分区分補助金
研究機関岡山大学

研究代表者

河内 俊憲  岡山大学, 自然科学学域, 教授 (40415922)

研究分担者 鈴木 博貴  岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (10626873)
田中 健人  岡山大学, 自然科学学域, 助教 (40911011)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード高レイノルズ数 / 先進レーザ計測 / 非定常空気力学
研究実績の概要

本研究では、レイノルズ数を大きく変化させた条件で、付着境界層や衝撃波-境界層干渉に伴うはく離の詳細なデータを先進画像計測を用いて取得し、これらデータを用いて検証した高忠実な数値計算に機械学習を併用することで、高レイノルズ数流れにおけるはく離の計算モデル構築を目指している。
2022年度は大気吸込み風洞を用いて、運動量厚さを代表スケールとしたレイノルズ数で20000程度の付着境界層流れの実験データ(乱流統計量や壁面せん断応力)をPIVに加え、PTVと油膜干渉を新規に導入することで取得した。これに加えて、風洞実験において斜め衝撃波を導入する圧縮ランプの形状の初期検討を行い、予備実験を行った。予備実験では、圧縮ランプによる閉塞、発生した衝撃波と側壁境界層の干渉が問題となり、実験として適切な衝撃波の導入を達成できなかった。2023年度以降、これを改善する。
これら実験データの取得に加え、実験に対応するLarge Eddy Simulation(LES)を実施し、三次元数値計算データを取得した。更にLESに斜め衝撃波を導入可能な境界条件を構築した。斜め衝撃波を導入した計算では、まず二次元非粘性数値計算コードにこの境界条件を実装し、生成された衝撃波に対する格子依存性の影響等を調べた。その後、本研究に使用するLESコードへこの境界条件を実装した。
これら実験データの取得およびLESの実施に加え、高レイノルズ数流れにおいて壁面せん断応力を予測する数理モデルの構築を、LESを教師データとした深層学習により開始した。現在構築したモデルでは、モデル構築に用いた教師データの近傍時刻では予測精度が高いものの、遠方時刻では予測精度が低下する問題がある。2023年度以降、これを改善し、衝撃波-境界層干渉の数理モデル構築に備える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実施計画として2022年度は「1)大気吸込み超音速風洞を用いた付着境界層の詳細データ取得と計測手法の確立」、「2)付着境界層の高解像度数値計算と衝撃波導入」、および「3)付着境界層の深層学習を用いた数理モデル構築」を挙げていた。
1)に関しては「非定常圧力計測系の構築」を除けば目標は全て達成できた。加えて、予備的な実験ではあるものの、圧縮ランプを風洞内に設置し斜め衝撃波を導入した実験も実施できた。2)に関しては当初計画の達成に加え、今後計算結果の妥当性を検証する必要はあるものの、三次元LESコードへの斜め衝撃波を導入する境界条件の実装を達成できた。3)に関しても、適用範囲に問題はあるものの、深層学習を用いた数理モデルの構築を開始でき、これが可能である見通しがたった。1)に関しては未達の項目もあるけれど、1)および2)に関して予定より進展している点があるため、これらを加味し,「おおむね順調に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

2023年度、風洞実験に関しては1) 大気吸込み超音速風洞を用いた付着境界層の詳細データ取得の継続するとともに、2) 風洞実験に斜め衝撃波を導入する圧縮ランプ形状の最適化やその設置方法をRANS解析を用いて行い、斜め衝撃波を導入した風洞実験手法を確立する。加えて、境界層レイノルズ数の増加を目指し、3) 加圧吹出し風洞実験の準備を進める。また非定常圧力計測系に関しては、COVID-19に伴う半導体の供給不足とそれに伴うセンサー価格の高騰・納期の長期化により、2022年度、新規にセンサーを購入することができなかった。これに関しては当研究室で保有するセンサーで代替を試みる。またこれらに加え、4)実験データを公開するデータサーバを整備する。数値シミュレーションに関しては、2022年度に引き続き、5) 高解像度の付着境界層の三次元数値データの取得を行うと共に、2022年度に実装に成功した衝撃波を導入できる境界条件を用いて、6) 衝撃波-境界層干渉の高解像度計算データの取得を開始する。数理モデルに関しては、2022年度に構築した数理モデルの適用範囲の拡大に努める。

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Development of a single-scale initial flow field into steady homogeneous turbulence with validating a constructed Fourier spectral analysis2022

    • 著者名/発表者名
      S. Hiroki, K. Toshinori
    • 雑誌名

      Journal of Physics: Conference Series

      巻: 2313 ページ: 012008~012008

    • DOI

      10.1088/1742-6596/2313/1/012008

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Numerical visualisation on applying a five-stage multi-scaled square turbulence-generating grid to generating turbulence2022

    • 著者名/発表者名
      S. Hiroki
    • 雑誌名

      Journal of Physics: Conference Series

      巻: 2313 ページ: 012005~012005

    • DOI

      10.1088/1742-6596/2313/1/012005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Dynamic Mode Decomposition of Simultaneous Dual-layer Focusing Schlieren and Unsteady Pressure-Sensitive Paint Measurements for Transonic Buffet on a Swept Wing2023

    • 著者名/発表者名
      S. Fukumoto, T. Kouchi, Y. Sugioka, and S. Koike
    • 学会等名
      AIAA Scitech 2023 Forum
    • 国際学会
  • [学会発表] Openfoam-LESによる Taylor-Green vortex流れの数値解析2023

    • 著者名/発表者名
      小野士, 鈴木博貴, 田中健人, 河内俊憲
    • 学会等名
      日本機械学会 中国四国学生会 第53回学生員卒業研究発表講演会
  • [学会発表] ベクトルポテンシャルにより定常化された乱流場のLES解析2023

    • 著者名/発表者名
      南光樹, 鈴木博貴, 田中健人, 河内俊憲
    • 学会等名
      日本機械学会 中国四国学生会 第53回学生員卒業研究発表講演会
  • [学会発表] Openfoam-LES解析の運動エネルギー保存特性に関する基礎的検討2023

    • 著者名/発表者名
      千歳惇人, 鈴木博貴, 河内俊憲, 田中健人
    • 学会等名
      日本機械学会 中国四国支部 第61期総会・講演会
  • [学会発表] 閉塞効果検証にもとづく多重スケール生成乱流特性に関する風洞実験2023

    • 著者名/発表者名
      山口寛人, 鈴木博貴, 河内俊憲, 田中健人
    • 学会等名
      日本機械学会 中国四国支部 第61期総会・講演会
  • [学会発表] 一次元畳み込みニューラルネットワークを用いた選択的な衝撃波面の検出方法の提案2023

    • 著者名/発表者名
      田中健人, 鈴木博貴, 河内俊憲, 竹内孔一
    • 学会等名
      2022年度衝撃波シンポジウム
  • [学会発表] Reθ =14,000の数超音速風洞壁に発達する乱流境界層のPIV計測2022

    • 著者名/発表者名
      貝原涼弥, 田中健人, 鈴木博貴, 河内俊憲
    • 学会等名
      第54回 流体力学講演会 / 第40回 航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム
  • [学会発表] 二次元遷音風洞におけるCRM後退翼のデュアルレイヤー断層シュリーレン/非定常感圧塗料を用いた三断面同時可視化2022

    • 著者名/発表者名
      河内俊憲, 福本翔太, 杉岡洋介, 小池俊輔
    • 学会等名
      第54回 流体力学講演会 / 第40回 航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム
  • [学会発表] ラバルノズルを用いない主流乱れを導入した超音速風洞2022

    • 著者名/発表者名
      清水崇史, 福田光一, 田中健人, 鈴木博貴, 河内俊憲
    • 学会等名
      第54回 流体力学講演会 / 第40回 航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム
  • [学会発表] 一様等方性乱流との干渉による球面衝撃波面の歪みの評価2022

    • 著者名/発表者名
      渡邉大成, 田中健人, 鈴木博貴, 河内俊憲
    • 学会等名
      第54回 流体力学講演会 / 第40回 航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム
  • [学会発表] 機械学習を用いた2次元バフェットにおける衝撃波位置の追跡と圧力伝播速度の位相平均値の算出2022

    • 著者名/発表者名
      菊池翼, 福本翔太, 田中健人, 竹内孔一, 河内俊憲
    • 学会等名
      第54回 流体力学講演会 / 第40回 航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム
  • [学会発表] 二次元後退翼バフェットの先進画像計測2022

    • 著者名/発表者名
      河内俊憲
    • 学会等名
      第29回 日本流体力学会 中四国・九州支部講演会
  • [学会発表] 一次元畳み込みニューラルネットワークによる局所崩壊した衝撃波面の検出2022

    • 著者名/発表者名
      田中健人, 鈴木博貴, 河内俊憲, 竹内孔一
    • 学会等名
      第29回 日本流体力学会 中四国・九州支部講演会
  • [学会発表] 後退翼バフェットに関するデュアルレイヤー断層シュリーレンと非定常感圧塗料の同時計測データの動的モード分解2022

    • 著者名/発表者名
      福本翔太, 河内俊憲, 杉岡洋介, 小池俊輔
    • 学会等名
      第60回 飛行機シンポジウム
  • [学会発表] 航空機の設計・開発を支える先進流体計測とデータ駆動型解析2022

    • 著者名/発表者名
      河内俊憲
    • 学会等名
      2022年度 日本冷凍空調学会 年次大会
  • [学会発表] エネルギー保存不確かさに対する非圧縮性定常乱流場のロバスト性の基礎的検討2022

    • 著者名/発表者名
      千歳惇人, 鈴木智也, 鈴木博貴, 河内俊憲, 田中健人
    • 学会等名
      第36回 数値流体力学シンポジウム
    • 招待講演
  • [備考] 岡山大学 工学部 流体力学研究室 Research Projects

    • URL

      http://www.cc.okayama-u.ac.jp/fdl/o3_sub_projects.html

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公開日: 2023-12-25  

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