研究課題/領域番号 |
22H01691
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
平野 義鎭 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (90425786)
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研究分担者 |
小笠原 俊夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20344244)
神山 晋太郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (40916516)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | CFRP / 雷撃損傷 / 高速度撮影 / MHD |
研究実績の概要 |
本研究では,複数の物理現象が短時間で重畳して起こるために,その詳細なメカニズムが未だ解明されていないCFRPの雷撃損傷に対し,実験的手法と解析的手法を組み合わせる事でそのメカニズムを解明し,高精度な雷撃損傷予測を可能とすることを目指す.特に,直接計測が難しい雷撃電流印加時に発生するアークルートの発達挙動と,同時に発生する衝撃波による機械的荷重,およびCFRPの有する高い電気的異方性がそれらに与える影響を解明し,数値解析に境界条件として与えることが課題となる. この問題に対し,本年度はCFRP供試体に対する模擬雷撃試験を実施し,高速度カメラによる雷電流のアークルートの観察を行うことで,アークルートの発達挙動の定量化手法を構築した.レーザー光源とバンドパスフィルタ,UVフィルタ等の組み合わせにより,プラズマ化したアークと高熱によって発生する樹脂の高温ガスの発光の影響を分離し,アークルートを鮮明に観察可能とする条件を確立した.同手法を用いることで,導電性の高いCFRP表面層の繊維方向と,繊維直交方向とでアークルートの発達挙動が異なることを明らかにした. また,数値解析的なアプローチとしてMHD(電磁流体)解析に着手した.本年度は簡便のため,実際の試験条件より雷電流の波形立ち上がり速度の遅い条件による,既存研究で報告例のある突針タングステン電極とAL合金平板間で生じるアーク放電現象を対象とした.市販のマルチフィジックス解析ソフトウェアであるCOMSOLを用い,現象を再現した数値解析を実施可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アークルートの可視化については最大電流値40kA程度までの条件において良好な観察が行えることを確認が確認できた.更に,得られた結果をこれまで構築してきた熱-電気連成のFEM解析の境界条件に反映することで,損傷予測精度の向上が見込めることを確認できている. また,新しい試み出るMHDシミュレーションについても,本来の試験条件とは異なるものの,簡易的な条件での解析実施を確認した.試験条件の再現には大幅な計算コストの増加が見込まれるという課題があるが,研究代表者の所属機関の有するスーパーコンピューター上において,同様の解析を実施可能な環境構築までを完了しており,今後の発展についても大きなリスクは無いと考えている. 以上により,当初計画通りに順調に進捗しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
アークルートの可視化実験によるCFRP着雷現象の解明と定量化については,前年度構築した可視化手法を活用し,異なる表面条件における雷撃試験に適用することで,より詳細な現象把握を目指す.具体的には,表面に耐雷損傷保護の金属メッシュや,航空用塗装が施された供試体について模擬雷撃試験を実施し,アークルートの発達挙動を評価する. MHD解析の構築と電流密度分布の同定については,前年度実施したMHD解析を実際の試験条件に拡張し,波形の立ち上がり俊度の高い国際標準規格波形での解析に取り組む.解析コストの大幅な増大が見込まれることから,スーパーコンピューターでの解析により対応する.解析により,アーク内部の電流密度分布の同定を行う. 更に,可視化実験,およびMHD解析結果の情報を統合した,雷撃損傷を模擬する数値解析手法の実現に向け,解析のフレームワーク検討に着手する.
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