研究実績の概要 |
本研究は,外航輸送船舶の可載要件を満たす唯一の非炭素燃料であるアンモニアの主燃料化を図るため,ブローダウン排気の筒内再導入による成層化を導入し,燃焼室の上下で予混合燃焼と低酸素濃度雰囲気下の予混合圧縮自着火燃焼の異種燃焼を並立させることを目的としている. 初年度の令和4年度には,アンモニア燃焼時のNO生成域を計測するための短波長光2次元レーザー誘起蛍光法(PLIF)システムの導入を完了したり,数値予測コードにアンモニアの反応機構を実装したり,アンモニア燃焼特性の事前把握となる急速圧縮膨張装置(RCEM)での燃焼実験を実施して結果を学会発表したりするなど,期間内の完了を目指して鋭意進めてきた. 令和6年度末までの研究期間に対し,研究代表者が令和5年度末に定年退職することが着手時からの懸念事項であり,研究継続が可能な組織や機関での再雇用に向け活動したものの所期の成果を得ず,2年間での終了を余儀なくされた.この結果,令和5年度には主要な計測設備を含めた研究室の整理を並行して行うことになり,本研究に関わる計測や数値予測の多くを中断せざるを得なくなった.具体的には,PLIFシステムにおいてはバーナー火炎を用いた検出感度の確認,ブローダウン制御弁においては試作と単流掃気模擬装置(UFSM)への装着,数値予測においては1次元エンジンシミュレータでの吸排気エネルギー平衡の検討などである. このような制約の中で,急速圧縮膨張装置(RCEM)を用いたアンモニア噴霧拡散燃焼における排出物特性(NO, N2O,NH3)の把握,高温高圧定容容器を用いたアンモニア噴霧の発達過程の観察などを前倒しで実施し,日本燃焼学会,日本学マリンエンジニアリング学会等において成果を発表した.
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