研究課題/領域番号 |
22H01707
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
瑞慶覧 章朝 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (00601072)
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研究分担者 |
江原 由泰 東京都市大学, 理工学部, 名誉教授 (40308028)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 船舶排ガス / PM / 電気集じん / 省エネルギー / 静電気 |
研究実績の概要 |
本研究では、ディーゼル排ガス微粒子に対する高電界型電気集塵装置(ESP)における再飛散現象に対するパンチング電極および矩形波交流電圧の効果について検討した。さらに、高風速・高集じん率化の理論検討を行い、それを実現する実験装置を新たに完成させた。 前者におけるESPの実験装置は、接地用円筒電極内に高電圧印加用円柱電極を電圧供給バーで吊り下げた同軸円筒構造とした。電極間隔は10 mm、円柱電極長は470 mmとした。円柱電極の端部は、火花放電が起きにくいように半径5 mmで丸みを設けた。電極間には最大19 kVの負極性直流電圧を印加し高電界を形成した。ディーゼルエンジン(出力 3 kW)の燃料はA重油、負荷率を100%とし、電極間に排ガスを流した。排ガス風速は風量調節ダンパーにより1 m/s ~ 4.8 m/s、排ガス温度は熱交換器によって30 °Cに調節した。排ガス中の粒子濃度は、ESP下流側ダクトから排ガスと等温でその一部を吸引し、質量法および個数法により測定した。測定した濃度から集じん率を算出した。その結果、印加電圧19 kVにおいて、放電電流は測定限界の0.01 mA以下であり、電力はほとんど消費されなかった。また、従来のプレート電極よりもパンチング電極を用いた方が集じん率が高くなった。さらに、従来の直流電圧印加時では、ESP稼どう時間の経過にともない集じん率の低下がみられたが、矩形波交流電圧印加時では、それが抑制される傾向が示された。 後者における高風速・高集じん率化では、完全乱流モードどおよび層流モードとして昨年度の結果を下に検討した結果、電極間隔6 mm、電極長2000 mm、電極間電界強度19 kV/cmとすることで、風速10m/sにおいて集じん率が約80%以上となることが予測された。そこで、実験装置を新たに設計し、製作を完了させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再飛散に対するパンチング電極と矩形波交流電圧の効果の検討を完了させた。新たな装置が完成し、実験がスタートしているため、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新たに設計製作した処理風速10 m/s、集じん率80%となる超高効率システムを用いて、高電界ESPの実用性を明らかにする.具体的には、(1)直流電圧印加時における集じん率の電極長・電圧・風速・時間特性、(2)矩形波交流印加時における集じん率の電極長・電圧・風速・時間特性、(3)パンチング電極使用時における集じん率の電極長・電圧・風速・時間特性を質量粒子濃度および個数粒子濃度で検討する。さらに、スケールアップに必要な改良点を検討する。実験は排気量400 ccのディーゼルエンジンの実排ガスを用いて行う。排ガスは、熱交換器を通過した後、高電界ESPで処理されダクトから排出する。熱交換器は排ガス温度を30°Cに調整するために用いる。熱交換器を通過した排ガスは、高電界ESPに送り込まれBC等が除去される。高電界ESPにおけるBC等の除去効果を検討するため、ローボリウムエアサンプラ(LVS)を用いて、最下流のダクトから排ガスの一部をガスと等温で吸引し質量粒子濃度を測定する。個数濃度に関しては、等温吸引した排ガスを10倍から100倍で等温希釈し測定する。粒径16 nmから200 nmまでを走査式モビリティーパーティクルサイザー(SMPS)、粒径300 nmから5,000 nmまでを光散乱式粒子濃度計数装置を用いて計測する。計測した濃度からBC等の除去率を算出する。
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