研究課題/領域番号 |
22H01709
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
高木 正英 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (50371092)
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研究分担者 |
溝渕 泰寛 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主幹研究開発員 (00358475)
川内 智詞 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (20549993)
今井 康雄 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (40426218)
南部 太介 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (90874404)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | e-fuel / 壁面熱伝達 / 気液二相流 / 再層流化 / 壁面近傍燃料分布 / 混合燃料の着火遅れ |
研究実績の概要 |
本研究では,「低発熱量のe-fuel」と「既存燃料」の混合によって着火性が大きく変わることで生じる壁面衝突形態に対応した熱損失低減手法として再層流化を提案,熱損失評価モデルを開発することで,エンジン効率向上に寄与する。 実験については,「混合比と着火遅れの関係評価」を実施した。e-fuelとして,OME(オキシメチレンエーテル)を用意した。OMEはCH3-O-(CH2-O)n-CH3で表され,オキシメチレン基(CH2-O)の数nによって,OMEnと記載される。今回使用したOMEはOME2~6である。このOMEは既存の舶用燃料に比べて着火性は優れているものの,舶用燃料を構成している代表成分である飽和分,および芳香族分との混合時に着火性と混合比が線形(加成性)になるかは不明である。 これらの着火性評価は,FCAと呼ばれる燃料着火性評価装置を用いて,OME2~6と,OME3とセタン価標準燃料であるヘキサデカン,1-メチルナフタレンの混合燃料を対象にして行われた。混合燃料の着火遅れから計算されたセタン価と混合比の関係は,ヘキサデカン,1-メチルナフタレンとも線形に近い結果になった。 計算については,「CFDによる壁面衝突状態の予測」を行った。実験で実施される噴孔-壁面間距離を変更し,鉛直方向速度の算出をLESを用いたCFD解析により行った。その結果,ガス噴流の実験結果と同様に,壁面を0としたほぼ等しい速度プロファイルとなることがわかった。また,液相の温度変化,および蒸発を考慮した改良されたVoF(Volume of Fluid)法による壁面衝突位置での燃料液体蒸発の様子を予測するための計算コードの改良,準備を行った。試行として,高温壁面上にある燃料液面に衝突する燃料液滴を対象とした計算を実施し,衝突時の気液界面の移動と,温度,蒸発量分布が予測できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全般的には,順調に実施できているが,壁面熱流束計測の準備まで行えなかったため,「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
実験については,「混合比と着火遅れの関係評価」と「壁面衝突時の再層流化の探索」を実施する。「混合比と着火遅れの関係評価」では,昨年度FCAと呼ばれる燃料着火性評価装置を用いて,OME3と一環芳香族(エチルベンゼン)の混合燃料を作製し,着火性に関する加成性に対する分子構造の影響を調査する。 「壁面衝突時の再層流化の探索」では昨年度実施できなかった急速圧縮装置において,噴霧軸直下に熱流束計を設置,熱損失を計測することで,燃料噴射圧力による再層流化の条件を探索する。また,燃料混合比によって壁面衝突時の噴霧火炎の状態(着火の有無,燃料液滴,蒸気の衝突)を変え,熱損失との関係を調べる。 計算については,「CFDによる壁面衝突状態の予測」を実施する。昨年度に引き続き,実験で実施されるパラメータ変更により温度(燃焼火炎と非燃焼噴流),および気液相(蒸発燃料/空気混合気と未蒸発燃料液滴)が変化した時の鉛直方向速度の算出をLESを用いたCFD解析により行う。また,液相の温度変化,および蒸発を考慮した改良されたVoF(Volume of Fluid)法による壁面衝突位置での燃料液体蒸発の数値解析を実施する。 実験,計算の結果が得られてくるため,壁面熱流束の解析モデルについても,これまで検討してきたモデルへの適用性などの評価を行い,問題点の把握を行う。
今後も共同研究先(JAXA)との情報共有を密に計画の齟齬がないように研究を実施していく。
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