研究課題/領域番号 |
22H01716
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
滝 聖子 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (50433181)
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研究分担者 |
ウ アテイ 北見工業大学, 工学部, 准教授 (30821962)
東 壯一郎 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (20908777)
石垣 綾 東京理科大学, 創域理工学部経営システム工学科, 教授 (50328564)
藤田 恵理 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (50466877)
山田 哲男 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90334581)
高野倉 雅人 神奈川大学, 工学部, 教授 (00333534)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 経営工学 / ワークライフバランス / ストレスコーピング / 作業研究 / 技術・技能伝承 |
研究実績の概要 |
2023年度は,ポストコロナ新時代におけるワークライフバランス支援を目指して,ストレスコーピング手法を提案するための研究を行い,以下の成果を得た. ①ワークおよびライフのデータ収集・分析:リモートワークの困難な労働者(介護,製造業)とリモートワークを伴う労働者に対して職業性ストレスの調査を行い,統計的分析によりストレス要因を明らかにした.また,居住地が異なる日本人母親を対象に育児ストレス調査を実施し,統計的分析により両者の共通点と相違点を示した.さらに,無償労働の貨幣評価のために,幼児を育てる働く母親2名を対象に行動(家事,仕事,生活必需動作)と身体活動量を計測した. リモートワークが困難な物流倉庫でのオーダーピッキング作業を例に,主観的負担度を心拍およびアンケートを用いて推定する手法を開発した.また,通所デイケア施設のリハビリスタッフの移動距離の削減とリハビリ器具の遠隔性の増大を同時に考慮するレイアウト設計法を提案した.さらに,モーションキャプチャと機械学習を用いて組立作業の作業分析を行い,経験の有無を比較した. ②ストレス対処傾向およびコーピング手法の調査・分析:様々なストレスコーピングツール(ヨモギ茶の摂取やeスポーツ動画の視聴など)の有効性を検証した.また,対面コミュニケーションの活性化を目的として聞き手のうなずき動作を判別する手法を提案した.さらに,ストレス評価手法として,時間を貸借対照表における資産(ストック)として捉えたWork-Life Balance Sheetの改良を検討した. ③成果発表および情報収集:得られた研究成果は,複数の論文誌に8編の論文が掲載された.また,複数の国際会議および国内学会で発表した.特に,日本設備管理学会春季研究発表大会では「ストレスコーピングデザイン:ストレスを知るための取り組み」を組織し,国内の研究動向についての情報収集を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,ポストコロナ新時代における多様な家族のワークライフバランス支援を目指して,技術・技能・健康のコラボレーションによるストレスコーピング手法(ストレス対処法)を提案するための研究を行っている.2023年度は,①ワークおよびライフ(在宅・リモートワークにおける業務,在宅・リモートワークの困難な業務,家庭内作業)のデータ収集・分析と②ストレス対処傾向およびコーピング手法の調査を実施した.これらの成果の一部は,論文誌および国際会議,国内学会,研究会で発表している.また,2024年度の国内学会等でも複数の発表を予定しており,論文誌への論文投稿も予定している.以上のように,2023年度の研究実施計画をほぼ達成できており,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,2023年度までに引き続き,ポストコロナ新時代のワークライフバランス実現を支援する技術・技能・健康のコラボレーションによるストレスコーピング手法(ストレス対処法)を提案するための研究に取り組む. ①ストレス対処傾向およびコーピング手法の調査・分析:作業の種類や順序との関連,在宅・リモートワークが困難な業務における負担の軽減方法についての検討を行う.コロナ禍またはコロナ後の個人のストレス対処の傾向を調べるために,ストレス対処法調査を実施し,分析する.個人の運動歴や嗜好等についても調査し,その関連を考察するとともに,様々なストレスコーピング手法の効果についても調査・検討する.また,個人差が主観的負担度に及ぼす影響を明らかにするために,実験協力者を増やして調査・分析を行い,物流倉庫でのオーダーピッキング作業においてストレスを軽減し,ストレスコーピングを実現するための戦略を明らかにすることを目指す. ②ストレスコーピング支援モデルの検討:2023年度までに収集したストレスデータ(身体的負荷および精神的負荷のデータ)の統計的分析により,様々な家庭内作業(家事・育児等)と業務に対する負担の程度を定量的に評価する方法を検討する.また,個人のストレス対処傾向に有効なストレスコーピング手法についても調査・分析を行う.さらに,多様な働き方・家族状況に対して多様な支援を提示可能なモデルを検討するとともに,居住地が異なる日本人母親の育児ストレスの調査・分析結果から,ワークライフバランス実現へ向けた企業への提言についても検討する. ③情報収集および成果発表:関連する国内外の研究動向についての情報収集を行う.また,得られた研究成果については,国内学会および論文投稿等により,研究成果を発表する.
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