研究課題/領域番号 |
22H01718
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
井上 全人 明治大学, 理工学部, 専任教授 (60365468)
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研究分担者 |
山田 周歩 富山県立大学, 工学部, 講師 (10845580)
石垣 綾 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 教授 (50328564)
山田 哲男 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90334581)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 経年劣化 / 製品アーキテクチャ / ライフサイクルコスティング |
研究実績の概要 |
モノは経年とともに必ず劣化する。しかし、その劣化を刷新し続けることで、一度寿命に達したモノも、さらに多世代にも渡って使い続けられる、そういったモノづくりはできないだろうか。ユーザーが使えば使うほど、ユーザーが手間をかければかけるほど、モノの価値が成長し、多世代に渡って長く使い続けることができるのではないだろうか。本研究課題は、地球環境、ユーザー、経済(製造企業)の3者全てが持続可能な社会システムの実現を目指す。そのために、経年劣化をカバーし、むしろその劣化をプラスに変え、モノの価値を成長させることで、常識を覆す年数で利用が可能な製品アーキテクチャ(製品構造)の設計を支援するシステムを構築することを本研究課題の主たる目的とする。 本研究の検討事項は、①製品アーキテクチャの評価モデルの構築、② 製品を構成する部品群とアーキテクチャの候補を入力情報として与えることで、アップグレード頻度(何世代使用するか)に応じた適切なアーキテクチャを導出する設計支援システムの開発、③国内外の事例適用による検証である。これにより、多世代使用の観点から適切な製品アーキテクチャを提示する。 2022年度は上記①②の構築に向け、アップグレード製品設計の初期段階で複数の製品アーキテクチャ、更新サイクル、更新部品の候補が存在する際に、環境負荷、コスト、不満度、信頼性の観点から将来の部品情報の不確実性を考慮した適切な製品アーキテクチャを導出する設計手法を提案した。また、③の一環として、提案手法をノートパソコンを簡易的に3部品に分割し、その構成部品の設計問題に適用した結果、部品情報の将来予測に沿った適切な製品アーキテクチャを設計者に提示できること確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、①製品アーキテクチャの評価モデルの構築、② 製品を構成する部品群とアーキテクチャの候補を入力情報として与えることで、アップグレード頻度(何世代使用するか)に応じた適切なアーキテクチャを導出する設計支援システムの開発、③国内外の事例適用による検証のうち,2022年度は①のみを実施する予定であったが、提案手法の有効性を検証するために、③の国内事例まで実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に提案した環境負荷、コスト、不満度、信頼性の観点から将来の部品情報の不確実性を考慮した適切な製品アーキテクチャを導出する設計手法において、2023年度は、製品アーキテクチャによるサプライチェーンの評価を検討する。 製品の構成部品において、モジュール部品とした場合と擦り合わせ設計を行なった部品とでは製造から製品提供までのサプライチェーンによる影響が異なることが考えられる。例えば、モジュール部品では部品製造企業から直接買い付けることが比較的容易であると予測できるが、擦り合わせた部品を製造するためには新たな生産ラインの構築や製造および輸送工数の増加が考えられる。これにより、輸送時の環境負荷量やコストの増加や考えられる。また、製造および輸送工数の増加により製品のリードタイムが増加した場合には、更新部品の製造が間に合わず、設定した更新サイクルにおける一部の候補での更新が不可能となる場合の発生が予測される。これらの理由から、製品アーキテクチャにおけるサプライチェーンの影響を考慮した評価指標を構築することで、製品アーキテクチャの違いによる有意性を高めた評価結果の導出が期待できる。
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