研究課題/領域番号 |
22H01733
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 弘 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (90188045)
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研究分担者 |
里見 知昭 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (80588020)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 水溶性ポリマー / 軟弱泥土処理 / ハンドガイド式機械 / 土質・含水比 / 可搬性 / フロー値 / 泥土改良 / 自動計測 |
研究実績の概要 |
豪雨災害現場で発生する軟弱泥土は復旧を妨げる厄介者でしかない.一般にスコップ等を用いて除去作業が行われているが,この方法は効率が悪く,かつ高齢者には肉体的負担が大きい.そこで,本研究では,小型ハンドガイド式泥土除去機械を開発するための主要な要素技術について検討することを目的とした. 本年度は,泥土の可搬性をモルタルフロー試験におけるフロー値で評価した.フロー値は150㎜以下を目標値とした.これは,これまでの経験上,フロー値が150㎜を超えると水分が多く流動化しやすく,可搬性という観点からは不十分であるためである.一方,フロー値は小さければ可搬性は担保できるが,必要なポリマー量が大きくなり,1回のポリマーのホッパー充填で処理できる泥土量が少なくなる.つまり,単位時間当たりの処理量が小さくなる.そのため,可搬性を確保するための必要最小添加量に関する検討が不可欠である.本研究では,珪砂および粘土を用いて,その混合割合を様々に変化させて砂質土から粘性土まで幅広い土質性状の模擬土を作成し,さらに含水比を種々に変化させて模擬泥土を作成する.その模擬泥土に対してポリマーを添加・撹拌し,フロー試験を実施した.その結果,吸水性ポリマーが高含水土砂の流動性を即時に抑制したのちに,数週間をかけて流動性が回復することが示され,回復後の流動性は土砂の液性指数と混合した吸水性ポリマーの量から予測できる可能性が示唆された. 吸水性ポリマーの混合量を段階的に変化させた改良土の一軸圧縮試験の結果からは,吸水性ポリマーの混合によって破壊強度が低下する結果が得られたが,セメント系固化材などの改良材の配合条件を改良前の土の含水比やコンシステンシーなどと関連付けて一般化することができれば,吸水性ポリマーを含む改良土であっても十分に建設用土砂として活用できる可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハンドガイド式泥土処理機械の開発にあたり,「軟弱泥土の土質および含水比を推定する技術の開発」および「推定した土質および含水比から軟弱泥土をハンドリング性の良い土砂に改質する技術」の2つの要素技術を開発する必要がある.本年度は前者の要素技術について検討したが,対象泥土を体系的に作成して実験に供するため,被災地の様々な泥土をサンプリングする必要があったが,コロナ禍の中でもある程度の泥土をサンプリングでき,市販のシルト・粘土を用いて被災地の泥土を体系的に模擬することができた.さらに,模擬泥土を用いてモルタルフロー試験を体系的に実施し,データを収集することができたため,概ね順調に進呈していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
被災地の軟弱泥土は復旧を妨げる厄介物でしかないため,即時除去が望まれる.小型のハンドガイド式泥土処理機械を開発するにあたり,泥土の可搬性を向上させるために必要なポリマーの添加量については概ね把握することができた.一方,必要なポリマーの添加量は土質および含水比に依存することも確認された.今後は,ブレードやベーンなどで泥土に直接触れ,その反力や回転トルクなどから土質や含水比を判断する手法について検討する予定である.
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