• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

画像認識と音声認識の複合AIによる災害状況認識ユニットの基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 22H01749
配分区分補助金
研究機関国立研究開発法人防災科学技術研究所

研究代表者

伊勢 正  国立研究開発法人防災科学技術研究所, 防災情報研究部門, 主幹研究員 (10766380)

研究分担者 鈴木 基之  大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (30282015)
河合 紀彦  大阪工業大学, 情報科学部, 准教授 (30610670)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード災害対応 / 状況把握 / 画像認識 / 音声認識 / GIS / 情報共有 / 被害検知 / デジタルツイン
研究実績の概要

当該研究課題は、災害時において、画像認識と音声認識の複合的AI技術を活用し、一般的な自治体職員でも、円滑かつ効果的な被害状況把握を可能とするための基礎研究を行うものである。初年度である2022年度においては、主要な研究分野であるGIS(地理情報システム)、音声認識、画像認識について、以下の成果を確認した。
◆GIS(地理情報システム):被害状況把握のためのパイロットシステムを構築し、実証実験のための建物データを作成した。また、3次元都市モデル(国土交通省のPLATEAU)のデータを用いて、3次元建物データの仮想現実の表現方法(ユーザインタフェイス)について検討を実施した。また、近年技術開発が目覚ましいウェアラブル・デバイスについて、いくつかの製品を購入し、被害検知への適用可能性について検討した。
◆音声認識:観測者の発話(例:方位角45度ぐらいで30mほど先の建物)によって、上記GIS上の建物データとのマッチングを行い、属性値(例:全壊、大規模半壊)を入力するための音声入力インタフェイスを構築した。さらに、実証実験を実施し、これらの機能の稼働を確認した。
◆画像認識:上記の音声入力インタフェイスに加え、画像認識により、建物の被災状態を検出するための基礎研究を実施した。俯瞰的に住宅地(複数の戸建て住宅群)を見た場合において、各建物を判読するための物体検知、および各建物の被害状況を判読する被害検知について、それぞれ機械学習を実施し、良好な検出結果を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画では、初年度では、水害を想定した音声認識、画像認識を用いた被害状況認識のプロトタイプを構築する予定であったが、◆初年度(2022年度)は顕著な洪水被害が無く、検証の機会が乏しかった ◆過去の水害(2015年常総水害)の被害調査写真を入手し画像認識の教師データとして活用しようとしたが、水害による被害では構造被害が極めて軽微であり、画像認識による判読は困難であることが判明した ◆令和2年7月豪雨(いわゆる人吉水害)の被害写真等、過去の災害における建物被害写真は、個人情報保護の観点から、研究への活用が難しいと判断されることが多い などの理由から、水害に関する画像認識が困難であることが判明した。
これにより、主要な研究分野であるGIS、音声認識、画像認識の3分野に対して、以下の研究開発を行い、全体としては当初予定を上回る進捗を確保している。
◆GIS(地理情報システム):GISを用いたパイロットモデルを構築し、2年目に完成を予定していた音声認識による建物データとのマッチングについて、すでに実証実験で稼働を確認している。また、3次元建物データの仮想現実の表現方法にも着手している。
◆音声認識:上記「GIS」に示したように、音声による入力インタフェイスの実装、稼働確認をすでに終えている。これは、当初計画においては、2年目に予定した成果の一部である。
◆画像認識:当初計画では、初年度は画像認識による被害把握の課題を整理する予定であったが、過去の地震被害による画像を用いて、実際に機械学習を実施し、俯瞰的に住宅地(複数の戸建て住宅群)を見た場合において、各建物を判読するための物体検知、および各建物の被害状況を判読する被害検知について、既に一定の成果を確認できている。これは、2年目以降に予定していた成果の一部を含んでいる。

今後の研究の推進方策

初年度の成果を踏まえ、2年目以降も研究開発を推進する。主要な研究分野であるGIS、音声認識、画像認識について、今後の研究開発を以下のように予定している。
◆GIS(地理情報システム):ウェアラブル・デバイスなど、最新のデバイスを用いた被害状況の検知および見せ方に関する研究を実施し、より被災の現場で活用しやすいGISの在り方について研究を進める。
◆音声認識:初年度においては比較的認識しやすい構文に対して、音声認識により建物データとのマッチングを図った。2年目以降は、より自然な発話や、より複雑な発話に対して音声認識を提供し、観測者が音声入力が可能な範囲を拡張するための研究を実施する。
◆画像認識:初年度では、俯瞰的に住宅地(複数の戸建て住宅群)を見た場合での各建物の検知、および各建物の被害状況を近接で判読する被害検知について検証を実施した。2年目以降は、これらの技術を組み合わせて、俯瞰的に住宅地を見た場合における、個別の建物の被害検知について検証を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] YOLOによる物体検出を用いた全壊した住家の検出2022

    • 著者名/発表者名
      木村裕貴, 木内一隆, 河合紀彦, 鈴木基之, 伊勢正
    • 学会等名
      情報処理学会第85回全国大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi