研究課題/領域番号 |
22H01771
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丹羽 健 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40509030)
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研究分担者 |
劉 崢 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 上級主任研究員 (80333904)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超高圧合成 / 多窒化物 / セラミックス / ダイアモンドアンビルセル |
研究実績の概要 |
電子材料や構造材料の重要性が増すにつれ,優れた硬質性を有する材料開発が求められている.機能性セラミックス材料には多結晶体を用いる場合が多く,その機能は結晶粒内の物性と,結晶粒界・界面の物性に強く依存する.その両者を大きく変化させることができる物質合成手法として超高圧合成法がある.数万気圧下における物質合成では,空隙が限りなくゼロに近い緻密な焼結体の合成が実現できるほかに,結晶構造が高圧下で安定な高密度相をとるという特徴がある.そこで,本研究では,単結合窒素を有する二窒化物(AN2)を超高圧下で合成し,その粒界・界面における原子配列と硬質性の相関を解明することを目的とする.具体的には,共有結合性の強い14族元素窒化物や常圧下に準安定的に回収可能な遷移金属の二窒化物を対象とする.研究初年度は,物質合成環境の整備に注力した.具体的には既に当研究室に設置されている赤外レーザー加熱光学系に,高速で温度測定が可能な輻射分光測温システムを組み込んだ.超高圧下における合成温度を正確に評価することは,合成条件や合成物の組織を観察する上で非常に重要となる.特に本研究で対象としている物質の合成温度は超高圧下で2500 K以上であると思われるが,温度の時間依存性や温度勾配を制御することができれば,界面や粒界の解析に適した良質な組織の物質が合成できると期待される.昨今の社会情勢を反映して,物品の納入に時間がかかり,まだ本格的な稼働テストまで実施できていないが,次年度以降早急に進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機器の選定および納品に時間がかかった.その後,周辺物品も揃い,既設の光学系の最適化の目処も付いたので,次年度早々装置に組み込むことで稼働テストを行う.
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今後の研究の推進方策 |
次年度の早い段階で高温高圧合成システムの構築は終了する予定である.それと並行して,サファイア基板上に金属膜を蒸着し,50-100 GPaでの合成実験を予定している.合成物の評価はラマン散乱測定,XRD測定,およびナノインデンテーションを予定しており,既に予備実験をおこない,ナノインデンテーションを用いた研究を推進している研究者と連絡をとり進めている.おそらく年度半ばくらいから電子顕微鏡による界面や粒界の観察も行うことが可能と思われるので,電子顕微鏡を専門にしている共同研究者の劉博士と密接に連携して進めていく予定である.
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