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2023 年度 実績報告書

蛍光X線ホログラフィーによる高性能ピエゾ材料の電場応答3次元精密構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 22H01774
配分区分補助金
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

木村 耕治  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20772875)

研究分担者 岩田 真  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40262886)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード蛍光X線ホログラフィー / 圧電材料 / 放射光X線
研究実績の概要

本研究では、特定元素周りの原子配列を3次元的に可視化できる蛍光X線ホログラフィー(XFH)を圧電材料に適用し、電圧印加時の原子変位のその場観測に取り組んでいる。これにより、圧電性の微視的な起源解明を図っている。2023年度は、高い圧電性を有するPb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3 (PMN-PT)をターゲットとして、電圧印加XFHを実施し、特に、Nb周りの原子像変化に着目して解析を行った。
PMN-PT試料は、0.1 mmの厚みにカットし、両面に電極を蒸着した上で、銀ペーストで導線を固定した。XFH実験は放射光施設SPring-8で実施した。印加電圧は、0Vおよび400V (40 keV/cm)に設定し、NbのKa線のホログラムを記録した。
実験結果を解析し質の高いホログラムが得られたことを確認した。ホログラムから原子像を再生したところ、明瞭なPbの原子像を観測することができた。0Vおよび400Vで再生した原子像を比較したところ、顕著な変化は確認できなかった。別途、電圧印加X線回折測定を実施したところ、結晶構造には変化が見られていることから、Nb周りでは電圧印加に対して元の構造を保ちやすい性質を有することが示唆される。このことから、Nbと同じサイトを占有するTiの周りで構造変化が生じている可能性が浮かび上がった。現在、次年度に向けてTiについても電圧印加XFH実験を進めている。Photon Factory において予備実験を行ったところ、Ti周りでは電圧印加によって局所構造が変化している様子が捉えられた。2024年度にはSPring-8で実験を予定しており、圧電性発現におけるNbとTi各々の役割理解を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では当初は、広く使用されているPb(Zr,Ti)O3圧電体を対象に、電圧印加蛍光X線ホログラフィー(XFH)を適用していたが、放射光照射による絶縁性の低下により電圧印加が困難であることが判明した。そこで、試料をPb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3バルク単結晶に置き換える対応を取った。2023年度は、電圧印加XFH実験にも成功し、現在は概ね順調に進展している状況である。

今後の研究の推進方策

Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3の圧電性発現機構の理解には、同サイト異価数元素を区別した構造解析がカギとなる。これまでは、Nb周りの電圧印加蛍光X線ホログラフィーに取り組んできたが、同じサイトを占めるTiについても同様の計測を進める。Nbとは異なる電場応答を示すことが期待され、それぞれの元素の役割理解につながると考えている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Phase Transitions under the Electric Field in Ternary Ferroelectric Solid Solutions of Pb(In1/2Nb1/2)O3-Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3 near the Morphotropic Phase Boundary: Electric Approach2024

    • 著者名/発表者名
      Iwata Makoto、Suzuki Soma、Takikawa Yoshinori、Nakamura Keiichiro、Echizenya Kazuhiko
    • 雑誌名

      Crystals

      巻: 14 ページ: 121~121

    • DOI

      10.3390/cryst14020121

  • [雑誌論文] Single Crystal Growth with Flux Method and Local Structure Analysis around Fe Using X-ray Fluorescence Holography for Multiferroic Pb(Fe1/2Ta1/2)O32023

    • 著者名/発表者名
      Inoue Yuto、Kimura Koji、Maruyama Masato、Happo Naohisa、Asaka Toru、Iwata Makoto、Matsushita Tomohiro、Hayashi Koichi
    • 雑誌名

      e-Journal of Surface Science and Nanotechnology

      巻: 21 ページ: 278~283

    • DOI

      10.1380/ejssnt.2023-048

    • 査読あり
  • [学会発表] セラミックス1結晶粒の蛍光X線ホログラフィー2024

    • 著者名/発表者名
      木村 耕治、Ahmed Gadelmawla、山本 裕太、八方 直久、Halubai Sekhar、松下智裕、 Kyle Webber、林好一
    • 学会等名
      日本放射光学会年会・ 放射光化学合同シンポジウム
  • [学会発表] 蛍光X線ホログラフィーで観測する誘電材料中の原子変位2023

    • 著者名/発表者名
      木村耕治
    • 学会等名
      日本セラミックス協会 第36回秋季シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 誘電体材料の放射光X線解析:添加元素の構造及びダイナミクス2023

    • 著者名/発表者名
      木村耕治
    • 学会等名
      中部・関西誘電体セミナー
    • 招待講演
  • [図書] Atomic-Resolution Holography. In: Hayashi, K. (eds) Hyperordered Structures in Materials.2023

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Matsushita, Koji Kimura, and Kenji Ohoyama
    • 総ページ数
      60
    • 出版者
      Springer, Singapore
  • [備考] 構造物性科学研究室

    • URL

      http://structure.web.nitech.ac.jp/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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