研究課題/領域番号 |
22H01775
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 晃司 京都大学, 工学研究科, 教授 (50314240)
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研究分担者 |
YI Wei 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50903431)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 強誘電体 |
研究実績の概要 |
BaTiO3やPb(Zr,Ti)O3などに代表されるペロブスカイト酸化物強誘電体は直接型強誘電体であり,電気分極そのものが常誘電-強誘電相転移の主秩序変数となる.これらの強誘電体の設計は二次ヤーン-テラー効果に基づく金属元素-酸素間の共有結合の形成に立脚しており,結晶構造の反転対称性を破るために特定の元素に特有の性質(Ti4+のd0電子配置やPb2+の6s2孤立電子対)を必要する.近年,層状ペロブスカイト酸化物を対象に,2種類の非極性構造歪み(典型的には,結晶学的軸周りの酸素八面体回転と傾斜)の組み合わせによりイオンの極性変位が副次的に生じ,強誘電性が生じることが理論と実験で示されている.このような強誘電性はハイブリッド間接型強誘電性と呼ばれている.酸素八面体回転・傾斜はカチオンの電子配置とは無関係に起こり,ペロブスカイト関連化合物において最もありふれた構造歪みであるため,ハイブリッド間接型の機構を用いると,新規強誘電体が開拓される可能性がある. 令和4年度は,前年度に引き続いて,遷移金属がBサイトを占有したペロブスカイト関連層状酸化物に焦点を当て,多機能性を有する強誘電体の開発を目指した.具体的には,固相反応法により候補物質の多結晶体を合成し,回折法と分光法に基づく詳細な構造解析を行うとともに,誘電的および磁気的性質を調べた.多結晶体の合成においては,液相プロセスにより作製した前駆体を原料粉末として使うことで,いくつかの新規物質が得られることを見出した.また,いくつかの系では室温近傍で強誘電性と(弱)強磁性の共存が確認された.これらの成果は,新しい強誘電体だけでなく,新しいマルチフェロイック物質の開拓につながる重要な成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は,ペロブスカイト関連層状酸化物において強誘電体を含む極性化合物をいくつか見出すことができた.回折実験や分光実験により,精密構造決定や物性評価にも成功している.一方で,分極反転などの強誘電性の評価においては問題に直面しているが、問題を解決するためのいくつか手法に取り組んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
間接型強誘電体の物質設計では,元素選択の自由度が直接型の場合と比べて遥かに大きく,従来では実現困難であった機能を容易に付与することができる.令和5年度は,強誘電性と強磁性が共存した系において,電場による磁性の制御など詳細な物性評価を行う.また,バンドギャップ制御により可視光応答性の強誘電体を探索する.この方向での研究を推進することにより,高機能な強誘電体が実現すると期待される.
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