研究課題/領域番号 |
22H01778
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今中 信人 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30192503)
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研究分担者 |
布谷 直義 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (40715314)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 固体電解質 / ハロゲン化物イオン / 希土類酸ハロゲン化物 |
研究実績の概要 |
本研究では、熱的・化学的安定性に優れる革新的高速ハロゲン化物イオン伝導性固体の創成を目指している。これまでに、単純ヨウ化物と比較して熱的・化学的安定性に優れるオキシヨウ化ランタン(LaOI)を母体とし、そこに低価数でありかつイオン半径が大きいSr2+、および低価数でありかつイオン半径が小さいZn2+を同時に固溶させることにより、格子体積を制御しつつ、ヨウ化物イオンの伝導経路となるヨウ化物イオン欠陥を導入したLa0.70Sr0.25Zn0.05OI0.70を合成したところ、高いヨウ化物イオン伝導性が得られることを明らかにしているが、吸湿性に課題が残っていた。 そこで2023年度は、LaOI系材料の安定性を向上させるため、構成元素の電気陰性度に着目した。構成元素の電気陰性度が高い場合、周囲のアニオンとの間に共有結合性の高い強固な結合が形成されるため、安定性が向上すると考えられる。そこで、La0.70Sr0.25Zn0.05OI0.70の中で電気陰性度が高いZnについて、その固溶量を増加させたLa0.85Sr0.05Zn0.10OI0.85の合成を行った。その結果、従来のLa0.70Sr0.25Zn0.05OI0.70と同程度の高い導電率を示し、かつ耐湿性が向上することを明らかにした。 さらに、オキシ臭化ランタン系材料(La0.9M0.1OBr0.9(M = Zn, Mg, Ca, Sr)について、理論計算により臭化物イオン欠陥の方が酸化物イオン欠陥よりも形成されやすいことが明らかとなり、臭化物イオン欠陥を介した臭化物イオン伝導を支持する結果が得られた。さらに、理論計算および様々な分析の結果を基に、添加金属イオンが臭化物イオン伝導性に与える影響についても明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オキシヨウ化ランタンにおける安定性をさらに安定させるために電気陰性度に着目し、電気陰性度が高いZnの固溶量を増加させることにより、安定性が向上することを見出した。本手法は、他のハロゲン化物イオン伝導体にも適用可能な反応性の高い手法であることから、次年度の研究に繋がる成果と考えている。さらに、オキシ臭化ランタン系材料における臭化物イオン伝導性が理論計算の観点からも明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、オキシヨウ化ランタン系について、電気陰性度に着目することにより、化学的安定性を向上できることを明らかにしたことから、高い電気陰性度のイオン導入による安定性の向上、およびヨウ化物イオン欠陥量の増大による導電率の向上、という両観点から材料設計を行う。
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