研究課題/領域番号 |
22H01788
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
篠崎 健二 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10723489)
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研究分担者 |
石井 良樹 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 特任講師 (20806939)
清水 雅弘 京都大学, 工学研究科, 助教 (60704757)
岸 哲生 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (90453828)
北川 裕貴 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (00964892)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 核形成 / ナノ結晶化 / 非晶質 / エンブリオ / 界面エネルギー / 臨界径 / 微小球 / コンビナトリアル合成 |
研究実績の概要 |
ガラスの核形成コントロールのためシミュレーションによるアプローチと実験的な比較を行った。結晶の核形成は臨界径に支配されるが、現実的に可能な計算時間やセルサイズの制限から、直接的に臨界径や核形成を評価することは困難であり、とくに臨界径や核形成に要する時間スケールの大きな無機ガラスでは報告されていない。そこで、本研究では新しいアプローチを検討した。本申請課題で開発した非常に速い核形成速度の組成物を利用して、分子動力学シミュレーションからの核形成へのアプローチを行った。ガラス構造中に異なるサイズの結晶構造を設置し、様々な温度で分子動力学シミュレーションを行った。その結果、結晶が崩壊するサイズと成長するサイズが存在することを明らかにした。これが臨界径であると考えられる。サイズや温度を変えることで、妥当な界面エネルギーが得られ、その臨界径もin situの高温XRD測定から求めた結晶核サイズと比較しても妥当な結晶サイズが得られた。早い核形成は界面エネルギーに由来していることを示唆する結果が得られた。この指針を利用することで、どのような組成が界面エネルギーを下げるのか、どのような組成が核形成しやすいのかを予測することが可能になる。また、微量添加でも核形成速度は大きく影響を受けるため、シミュレーションと併せて実験的にも効率的に最適組成を求めることも必要である。好適な組成を求めるためにコンビナトリアルな実験系を適用し、最適添加イオン濃度などを多量に試すことが可能になった。これを用いていくつかの組成候補を検討し、いくつかのナノ結晶化ガラス微小球を合成することも試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーション的にも実験的にも効率的にガラスの高速核形成を設計する方法を確立できた。また、微小球の合成と特性評価もおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、核形成の設計方法を確立し、急冷過程でナノ結晶化ガラス微小球を合成し、特性評価を行う予定である。まずは、ここまで効率的に核形成を探索する方法が確立できたので、シミュレーションによりドメイン形成及び核形成に及ぼす組成の効果を検討する。また、最適な添加量を決定するコンビナトリアルプロセスの適用可能性を引き続き検討し、新規組成開発への適応可能性を検討する。いくつかの微小球の合成に成功したので、発光特性などの評価を行う。
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