研究課題/領域番号 |
22H01799
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
阿部 英樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究センター, グループリーダー (60354156)
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研究分担者 |
橋本 綾子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, 主幹研究員 (30327689)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ナノコンポジット / メタン酸化 / 触媒 / ナノ組織 |
研究実績の概要 |
ニッケル(Ni)とイットリウム(Y)からなるNiY前駆体合金粉末をNiメッシュ支持体に分散・焼結固化し、これを酸化雰囲気に暴露することによって、極細繊維状の金属Niと酸化イットリウム(Y2O3)からなるNi#Y2O3ナノコンポジット粉末がNiメッシュに分散・固定された形態を持つNi#Y2O3/Niメッシュ電極触媒を作製した。Ni#Y2O3/Niメッシュ電極触媒は、活性中心となるNi相が、活性増強機能を持つY2O3相を貫通し、支持体のNiメッシュに対し、高度な電気的・熱的接合を実現している。結果として、Ni#Y2O3/Niメッシュ電極触媒は、支持体に担持されていない形態のNi#Y2O3粉末よりも、また、純Ni粉末よりも、大幅に優れたメタン酸化触媒活性を示すことが明らかにされた(特許・論文準備中)。Ni#Y2O3に対する比較材料として、白金(Pt)とセリウム(Ce)からなるPt5Ce合金の超薄膜(厚さ<50nm)をシリコン基板上に蒸着、これを酸化雰囲気に暴露することによって、極細細線状のPtと酸化セリウム(CeO2)からなるPt#CeO2/Si薄膜を作製した。Pt#CeO2/Si薄膜のナノ組織が、酸化雰囲気の組成と試料温度によって、離散した点状組織から、共連結した網状組織まで、さまざまに変化することを見出した(Nanoscale Advances掲載)。数理モデルに基づいた計算機シミュレーションにより、Pt#CeO2/Si薄膜のナノ組織の変化が、前駆体合金内部のPt、Ceそれぞれの拡散速度の差に起因していることを明らかにした(PCCP出版予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度研究によって生み出されたNi#Y2O3/Niメッシュ電極触媒は、標準的なNi触媒に比べ、飛躍的に優れたメタン分解触媒活性と、触媒寿命を実現した点で、本研究の目的である多燃料SOFC電極としての必要条件を充足している。Pt#CeO2/Si薄膜製造は、同上Ni#Y2O3触媒のナノ組織制御の支配要因が、前駆体合金の構成原子の拡散速度にあることを初めて明らかにしたものであり、これは、多燃料SOFCに限定されることなく、ナノコンポジットの組織制御に対する深い理解を与える成果である。上記成果にかんがみ、区分として(1)、当初計画以上の進展の評価が妥当と考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の本年度は、本研究費により導入済みのSOFC評価装置(電極アセンブリおよびアウトガス組成評価装置)を駆使し、本年度までに開発されたNi#Y2O3/Niメッシュ電極による、メタン燃料からの、電力発生を実証する。
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