研究課題/領域番号 |
22H01806
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
盛田 元彰 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30636626)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | スケーリング / シリカ・シリケート / 地熱 / 含水マグネイスムシリケート(M-S-H) / 粘土鉱物 |
研究実績の概要 |
本年度は、各種材料のスケーリング性を評価できるように装置を改造した。地下の模擬をできる限りできるように、薬品注入の際に圧力の低下ができる限り起こらない高圧で薬品を注入できるプレッシャーピペットを自作した。測定精度を改善できるように試験条件を固定し、装置構成を変えて複数回行い、良好な再現性を得られるような試験装置構成へとさらに改造した。改善には、圧力計を設置して差圧を測定する手法のほか、流量計等も設置し、様々なデータをモニタリングすることでスケーリング性を評価できるようにした。そして、データ処理の方法について検討した。最終的に差圧と流量計のデータの双方からスケーリング性の傾向を捉えることができた。その試験の中で、スケーリングの難易に材質の影響があることが確認された。水溶液中の粒子径やゼータ電位を測定できる装置の仕様策定及び立ち上げをおこなった。納品は資材不足の影響で遅れたが2023年度の後期中に納品を完了できた。そしてスケーリング性評価試験を行った後のサンプルを測定し、実際に粒子系とゼータ電位を測定できる測定方法を確立した。スケーリングに影響する因子として、溶存酸素と塩化物イオン濃度の影響について電気化学的手法と電子顕微鏡を用いてスケーリング状態を観察し、付着した物質についてFT-IRとXRDを用いて解析した。溶存酸素量と塩化物イオン濃度が高いほどスケーリングが顕著であったことから、溶存酸素量と塩化物イオン濃度はスケーリング性を左右する重要な因子であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はスケーリング評価装置の測定精度向上を図る改造を行い、スケーリング容易であった要因となる因子について検討付けて整理することであった。それらについては順調にデータが得られている。また、試験中に材質によりスケーリングの度合いがことがなることが分かり、3年目から行う予定であった研究の前データも得られつつある。シリカ・シリケート粒子の粒子径 の測定やゼータ電位の測定に必要な装置の仕様策定を行い、納品し、データの取得法を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度中にスケーリング性の評価精度を向上させられた。その手法を用いて2023年度も引き続きシリカ・シリケートの構造とスケーリング性の関係性を明らかにする研究を行う。各種溶存ガス等の条件や溶液の組成を変えながらスケールを合成し、合成されるシリカ・ シリケートの構造とスケーリング速度に及ぼす合成雰囲気の影響を評価する。特にスケーリング性の経時変化に注目し、スケーリング速度が早い時間と遅い時間のそれぞれでサンプリングし、溶液の濃度(分光光度計)や,粒子径やゼータ電位(粒度分布・ゼータ電位計),結晶構造 (XRD) ,分子構造 (FT-IR),結合水の量や結合サイ ト(TG-DTA)を用いて解析する。そして、スケーリング性の高いシリカ・シリケート粒子の構造を評価する。これまでの研究成果にて得られたCO2雰囲気で合成されたスケールがスケーリング容易となる要因について整理する。 昨年度までの研究で材質によってスケールの形成量が大きく異なることが確認された。同機構を解明するため来年度から開始予定であった材料表面の構造とスケーリング性の関係性を評価するために必要な装置の改造を早期に開始する予定にしている。
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