研究課題/領域番号 |
22H01809
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
小林 正和 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20378243)
|
研究分担者 |
三浦 博己 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30219589)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 結晶組織 / 局所ひずみ / 結晶方位依存性 / 引張変形 / 三次元 / 不均一変形 |
研究実績の概要 |
塑性加工を受けた金属の微細構造の不均一な発達と局所的なひずみの発生は,その後の加工や再結晶,そして,亀裂の発生と成長などに影響するため非常に重要である。これまで,「不均一変形」と「不均一組織形成」について報告は,それぞれ,数多く為され,結晶粒組織の不均一な挙動は,結晶方位依存が主要因と広く信じられているが,未だもって,結晶粒組織中のどのような場所で局所的なひずみ集中が生じるのかは,明瞭に提示されていない。 Al-4mass%Cu合金を試料とし,実験で得られたX線CTの三次元画像中のAl2Cu粒子位置を画像解析し,変形前後で同一の粒子を見つけることで,粒子間距離の変化から,局所的な3次元塑性ひずみを解析した。加工硬化領域の約15%引張での解析をおこなった。相当塑性ひずみを代表値として,結晶粒サイズ,Taylor因子(塑性変形のし易さの指標),あるいは,粒界までの距離との相関関係を調査した。結晶粒サイズが大きいものは,比較的結晶粒内のひずみ差(標準偏差)が大きかった。しかしながら,サイズやTaylor因子と,実際の塑性ひずみ量には,明確な相関関係が見られなかった。ひずみ集中と結晶組織との関係を注意深く検討したところ,隣接する結晶粒との変形能の差(例えば,Taylor因子の差)が重要であることが示唆された。 今年度は,引張試験の塑性不安定以降,破壊に至るまでを解析対象として局所的な3次元塑性ひずみ解析を進めた。また,昨年度の研究で隣接する結晶粒との変形能の差が重要であることが示唆されたことから,放射光の活用でX線CTの分解能を向上させ,より具体的な状況における局所変形を解析するための実験用の試料(Al-Mn-Fe合金)を準備した。放射光の実験ビームタイムが確保でき次第実験を行い,粒界近傍での塑性ひずみと結晶方位差の関係を調査を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粒界近傍の変形に関する追加の実験準備は進めていたものの,残念ながら,今年度は放射光実験を行う機会が得られなかったため。なお,次年度は確実に実験できるように,既にヨーロッパの放射光施設(ESRF)にも課題申請をしている。検証のための結晶塑性解析も行っているが,実験で見られた現象を説明できるまでには至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
放射光施設(SPrin-8およびESRF)に実験課題申請を行い,追加の放射光実験を行って,粒界近傍の変形状態と結晶方位差関係を調査する。Al-Cu合金のデータについては,破壊パスと初期結晶粒組織との関連性についての相関解析を実施し,どの程度結晶粒の方位が破壊へ影響しているのかを明らかにする。解析結果については国際会議で報告を行う予定である。
|