研究課題/領域番号 |
22H01815
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
仲村 龍介 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70396513)
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研究分担者 |
石丸 学 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (00264086)
佐道 泰造 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (20274491)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 半導体 / アモルファス / 結晶化 / 電子ビーム |
研究実績の概要 |
ゲルマニウム(Ge)-スズ(Sn)混晶薄膜は,主流のシリコン(Si)そしてGeを凌駕する電気および光学特性をもつ次世代の半導体デバイス材料として有望である.Snを極力高濃度に固溶した結晶薄膜を低温で作製することを実用化の第一ハードルとして,国内外で活発な研究が繰り広げられている.本研究では,弱い電子ビームによる「非加熱方式」により,瞬間的かつ広域な結晶成長を促す方法の確立を目指す.(1) この手法の有効性を実証し,(2) 瞬間結晶化(爆発的結晶化)が生じる構造的要因を明らかにし,そして,(3) 得られた結晶膜の電気特性を評価する.Geの性能を超えるGeSn結晶薄膜の非加熱方式作製技術の確立を最終 目標とする. 昨年度に実施した(1)基板フリーのアモルファス薄膜の結晶化の研究成果をアメリカの応用物理学会誌に発表した. (2)の研究として,Sn濃度20at.%までのアモルファス薄膜試料を,軟X線発光分光法およびX線光電子分光法により分析した.Snの高濃度化に伴ってSnクラスターの形成が顕著になれば,金属Snの結合に由来するシグナルが検出されることを予想した.しかしながら,予想した傾向は見られなかった. (3)の実証実験に向けて,シリコン,ガラスおよびポリマー基板にアモルファス薄膜を堆積し,電子ビームによる結晶化の予備実験を実施した.基板の種類と薄膜の厚さが,爆発的結晶化の可否および難易と関係することが見えてきた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに,(1)低エネルギー電子ビームによる瞬間結晶化の有効性を実証し,(2)瞬間結晶化(爆発的結晶化)が生じる構造的要因を明らかにする研究,の二つをおおむね終えた.(3)得られた結晶膜の電気特性を評価する実験に向けての試料作製に着手できた.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には,シリコン,ガラスおよびポリマー基板に成膜したアモルファス薄膜試料に対して,3から10keVの電子ビームを照射して爆発的結晶化を実証する実験に着手した.基板の種類と膜厚が爆発的結晶化の可否(難易)と関係することがわかってきた.2024年度の前半には,基板上のアモルファス薄膜が結晶化する条件を明らかにする.確かなる条件の探索を成し遂げたら結晶膜の電気特性の評価に進む計画である.
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