研究課題/領域番号 |
22H01839
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
棗 千修 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (80632752)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 凝固組織 / 偏析 / シミュレーション / セルオートマトン法 / 鋳造 |
研究実績の概要 |
多くの金属材料は凝固過程を経て製造されており,その凝固組織は材料特性へ大きな影響を与えるため,高精度な凝固組織予測法の確立が望まれている。本研究では,超高精度なマルチスケールの凝固組織・偏析シミュレータを実現するために,メソスケールの凝固組織・偏析の情報を厳密に反映した革新的な凝固組織マップを構築する。凝固組織マップは,凝固条件(凝固速度と温度勾配)と凝固組織形態(等軸晶,柱状晶)の関係を示した図であり,これらの関係に加え,デンドライトアーム間隔やミクロ偏析などのより緻密なメソスケールの凝固組織情報を有する凝固組織マップがあれば,実験やシミュレーションをせずに,短時間かつ低コストで正確な凝固組織制御が可能となる。さらに,マクロスケールの凝固組織・偏析シミュレーションモデルに,凝固組織マップの情報が実装されれば,マルチスケールの凝固組織・偏析シミュレータが実現できる。 本年度は,Al基合金の一方向凝固実験により得られた凝固組織(柱状晶から等軸晶へ遷移する組織)の凝固条件を,凝固シミュレーションを用いて効率的に算出する方法を構築した。凝固シミュレーションモデルには,データ同化による熱伝達係数の推定技術を実装し,シミュレーションの高精度化(実測の冷却曲線との誤差最小化)を図った。シミュレーションから算出した凝固条件と実験による凝固組織を組み合わせることで,マクロスケールの凝固組織マップを得るシステムを構築した。また,メソスケールの凝固組織・偏析シミュレーションのモデルとして,ミクロ偏析を定量的に評価できるセルオートマトンモデルを開発した。本モデルによるシミュレーション結果は,実験およびフェーズフィールドシミュレーションで得られたミクロ偏析挙動と精度良く一致することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ同化による熱伝達係数の推定技術を実装した凝固シミュレーションモデルにより,マクロスケールの凝固組織マップを構築するシステムが概ね確立した。また,メソスケールのセルオートマトンモデルによるシミュレーションの凝固組織とミクロ偏析挙動も定量的な予測が可能なレベルに達しており,本研究は,概ね予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,より高精度な凝固シミュレーション結果を得るために,データ同化による熱伝達係数と熱伝導率の同時推定技術を構築する。多様な凝固条件による鋳造実験を行い,より広範な凝固条件に対応した凝固組織マップの作成を検討する。実験のみでは得ることの難しい凝固条件に対しては,メソスケールのセルオートマトンモデルによる大規模シミュレーションを実施して,凝固組織マップへのデータ補完をおこなう。さらに,ミクロスケールの情報を凝固組織マップに反映させ,新しい凝固組織マップの構築技術を確立していく。
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