研究課題
2-ピコリンアミドについてPd(II)及びPt(IV)に関する沈殿性について、塩酸濃度や配位子濃度を変化させ、各金属ごとに検討を行った。2-ピコリンアミドは、Pd(II)単独系及びPt(IV)単独系の試験については、それらの金属を沈殿させた。一方で、共存系については、沈殿性の高いPd(II)に配位子が利用され、Pd(II)への沈殿選択性を発現した。ここで得られた各沈殿物について、広域X線吸収微細構造(EXAFS)測定を行った。その結果、2-ピコリンアミドのPd(II)への配位を示唆する結果が得られた。一方、Ptに関しては、沈殿前後での構造変化はみられなかったことから、Pt(IV)の塩酸溶液中の溶存状態である塩化白金酸アニオンに対し、プロトン付加した2-ピコリンアミドのカチオンが電荷を中和することでの沈殿が示唆される。詳細なPd沈殿物の構造情報を取得するために、単結晶の作成及び単結晶X線構造解析を行った。単結晶の生成条件によっては、テトラクロロパラジウムアニオンを含む構造が得られたものの、EXAFSの結果と同様の塩素が2分子配位した構造が得られた。この構造を基に、配位部位におけるエネルギーの安定性を密度汎関数法(DFT)計算により検討した。その結果、単結晶X線構造解析で得られた構造が妥当であることが確認された。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、沈殿率の確認、構造解析、計算化学的手法による錯体単分子での構造評価等を行った。いずれも、これまでの研究で実施した手法と同様のものを2-ピコリンアミドの系に適用したため、問題等が起こることなく概ね順調に研究が進んだ。
2-アミドピリジンの構造類似化合物の金属沈殿率、沈殿物の構造解析、計算化学的な評価を行う予定である。問題等が起こらないよう、検討は2022年度に実績のある手法を用いることを考えている。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Separation and Purification Technology
巻: 308 ページ: 122943~122943
10.1016/j.seppur.2022.122943