研究実績の概要 |
2-ピコリンアミドと類似構造を有する化合物の塩酸溶液中におけるPd(II)やPt(IV)に関する沈殿性を検討した。その結果、3位にアミド基を有するピリジン-2,3-ジカルボキサミドに関して、2-ピコリンアミドと同様にPd(II)に選択的な沈殿が可能であることを明らかにした。2-ピコリンアミドでは、 Pt(IV)単独系の場合は、Pt(IV)を沈殿させたが、ピリジン-2,3-ジカルボキサミドはPt(IV)に関する沈殿性は見られず、2-ピコリンアミドよりもさらに高いPd(II)選択性を有する。ピリジン-2,3-ジカルボキサミドによるPd(II)錯体の構造についてXAFS(X線吸収微細構造)法等により分析したところ、2-ピコリンアミドと同様に、ピリジン-2,3-ジカルボキサミドもPd(II)に配位し、沈殿していることがわかった。さらに各塩酸濃度において生成されたPd(II)錯体のXAFS測定を行ったところ、塩酸濃度が下がると、ピリジン誘導体と塩化物イオンの配位数に変化が生じることがわかった。 2022年度に構造を同定した2-ピコリンアミドのPd (II)錯体については、結晶構造のデータをベースに固体構造中における2分子間の相互作用のエネルギーを密度汎関数法によりモデリングし、Pd(II)錯体の凝集における局所的なエネルギーについて評価した。その結果、Pd(II)錯体の凝集に支配的な分子間構造を明らかにした。
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