研究課題/領域番号 |
22H01853
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
赤松 憲樹 工学院大学, 先進工学部, 教授 (50451795)
|
研究分担者 |
南雲 亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20552003)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 膜 / ファウリング / 透水性 / ブレンド / NIPS / 分子動力学シミュレーション / 第2ビリアル係数 |
研究実績の概要 |
本研究は高透水性と低ファウリング性を併せ持つ高分子系複合膜の開発と,表面・細孔構造設計法の確立を目的としている.2023年度はまず,カルボキシベタインモノマー(CMB)と特定の疎水性モノマーの共重合ポリマーを合成し,非溶媒誘起相分離(NIPS)法にて作製するポリフッ化ビニリデンとのブレンド膜のロバスト性を評価した.ブレンド膜はアルカリ洗浄により性能を回復することができ,ブレンドしたCMB共重合ポリマーの脱離は認められなかった.またブレンド膜を水中で長期間保管したところ,6か月後も製膜直後の低ファウリング性を維持しており,やはりCMB共重合ポリマーの脱離は認められなかった.さらにNIPS条件としてキャスト後の蒸発時間や非溶媒温度を変化させて製膜を行い,これらのパラメータが膜構造(細孔構造,ブレンドポリマー表面存在割合)に与える影響を明らかにした.加えて,同様の手法をポリエーテルスルホンを膜母材としたブレンド膜に対して適用し,限外ろ過膜を作製することに成功した.また作製した膜がタンパクに対する吸着抑制能を有することを明らかにした.これらの実験的アプローチと並行して,熱力学・統計力学に立脚した計算化学的アプローチを導入した.計算に際しては,膜母材を簡略化したフラグメント分子,耐ファウリング素材の繰り返し単位,溶媒分子の3成分で構成される計算モデルを事前に構築した.構築後の計算モデルを対象に,フラグメント分子と耐ファウリング素材の繰り返し単位を計算機上で接近させ,両者に作用する力を解析した.その結果,力の計算値と相溶性の実験的傾向に良好な相関性が存在することを示唆した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した計画通り,研究を推進できたため.
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度も引き続き,交付申請書に記載した計画通り,研究を進める.最終年度であるため,研究チームとしては,1か月に1回のペースでオンラインあるいは対面で進捗報告を行い,相互にフィードバックを与えあいながら,効率的に研究を推進する.また得られた成果を迅速に学会発表・論文発表につなげる.
|