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2023 年度 実績報告書

細孔特性を精密に制御した多孔質電極の創製による直接ギ酸型燃料電池の出力向上

研究課題

研究課題/領域番号 22H01858
配分区分補助金
研究機関金沢大学

研究代表者

辻口 拓也  金沢大学, 機械工学系, 教授 (10510894)

研究分担者 春木 将司  金沢大学, 機械工学系, 教授 (90432682)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード直接ギ酸形燃料電池 / 気液2相流 / 多孔質電極 / 物質輸送
研究実績の概要

本研究では直接ギ酸型燃料電池(DFAFC)のアノード電極へのギ酸供給と電極反応で発生する反応阻害気体排出を制御可能な多孔質電極を創製し、発電効率を飛躍的に向上させることを目的としている。DFAFCのアノードではギ酸(液)が供給され、電極反応が増進するとともにCO2(気体)が生成するため、ギ酸の電極への供給阻害が起こり、発電効率低下の一因となっている。そのため、本研究ではギ酸とCO2からなる複雑な気液2混相流を制御し、アノードへギ酸のみを高効率で供給可能な多孔質電極を開発する。2022年度は、まず空隙率・濡れ性・平均細孔径といった基本的な多孔質層物性の制御・作製方法の確立に取り組んだ。さらに、研究分担者は磁性材料を添加した高分子材料を磁場中で合成することにより、高分子材料内の磁性材料を配向させることに成功した。2023年度は、カーボンペーパーに電子サイクルミシンで決まった径・量の細孔を導入し、それらが電池の発電特性と物質輸送特性を議論した。その結果、細孔の導入量には最適値が存在すること、また、その最適値は細孔径によって異なることが明らかとなった。さらに、細孔の導入による物質輸送の促進効果は拡散層の濡れ性によって大きく変化し、撥水性のカーボンペーパを用いた際に物質輸送促進効果が大きいことが明らかとなった。触媒層の細孔構造に関しては、繊維状の造孔材を用いてスリット状の細孔を付与した触媒層を作製した。その結果、電池出力を最大化する繊維の径に最適値が存在することが明らかとなった。一方で、造孔による触媒層厚みの影響などに不明瞭な点があることから、2024年度はシミュレーションなどを用いながらこれらの影響についても検討を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細孔の制御に成功し、それによって細孔特性と電池性能の相関が見えてきたことなどから概ね順調に研究は推移しているものと考えられる。一方で、細孔の配向方法などは確立されているものの、これらを電極形成プロセスに適用する方法については現在検討中であり、この確立が必要であると言える。

今後の研究の推進方策

触媒層厚みの影響や作製プロセスの影響なども検討する必要があると考えられる。また、メカイズム解明に向けたシミュレーションの利用も検討する必要がある。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Molybdenum-containing carbon nanofiber supported palladium catalyst for formic acid oxidation reaction2023

    • 著者名/発表者名
      Abd Lah Halim Fahimah、Osaka Yugo、Kodama Akio、Tsujiguchi Takuya
    • 雑誌名

      International Journal of Hydrogen Energy

      巻: 48 ページ: 35753~35764

    • DOI

      10.1016/j.ijhydene.2023.06.004

    • 査読あり
  • [学会発表] 拡散層に細孔を付与した直接ギ酸形燃料電池の物質輸送・発電特性2023

    • 著者名/発表者名
      堤井 淳貴・大坂 侑吾・ 児玉 昭雄・ 辻口 拓也
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
  • [学会発表] 気体CO2を用いたCO2電気化学還元によるギ酸合成セルに関する基礎検討2023

    • 著者名/発表者名
      中嶋 利輝・大坂 侑吾・ 児玉 昭雄・ 辻口 拓也
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
  • [学会発表] インク調合プロセスが電極細孔特性および直接ギ酸形燃料電池の発電特性に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      小西 悠平・大坂 侑吾・ 児玉 昭雄・ 辻口 拓也
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
  • [学会発表] EFFECT OF OPERATION TEMPERATURE ON MASS TRANSPORT IN THE DIRECT FORMIC ACID FUEL CELL ANODE2023

    • 著者名/発表者名
      J. Zhu, Y. Osaka, A. Kodama, and T.Tsujiguchi
    • 学会等名
      The 33rd International Symposium on Transport Phenomena
    • 国際学会
  • [学会発表] POWERGENRATION CHARACTERISTICS OF DIRECT FORMATE FUEL CELL USING CATION IONOMER AND MEMBRANE2023

    • 著者名/発表者名
      W. YIMING , Y. OSAKA, A. KODAMA, H. MATSUDA, A. KANEDA and T. TSUJIGUCHI
    • 学会等名
      The 33rd International Symposium on Transport Phenomena
    • 国際学会
  • [学会発表] 直接ギ酸形燃料電池のアノード触媒および触媒層設計指針2023

    • 著者名/発表者名
      辻口 拓也
    • 学会等名
      2023年度金属学会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] CCUに貢献するエネルギーキャリア「ギ酸」2023

    • 著者名/発表者名
      辻口 拓也
    • 学会等名
      材料技術研究協会討論会
    • 招待講演
  • [学会発表] ギ酸のエネルギーキャリア としての可能性 ~ギ酸の合成技術・ギ酸燃料電池の開発~2023

    • 著者名/発表者名
      辻口 拓也
    • 学会等名
      技術情報協会Webセミナー
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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