研究課題/領域番号 |
22H01860
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
草壁 克己 崇城大学, 工学部, 教授 (30153274)
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研究分担者 |
池永 和敏 崇城大学, 工学部, 教授 (70176113)
永井 杏奈 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (30910400)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 二酸化炭素 / エピクロロヒドリン / 固定化 / 窒素ドープカーボン / グリセロール / 触媒反応 |
研究実績の概要 |
大気中の温室効果ガスの低減策としては排ガス中の二酸化炭素を分離、圧縮・液化して地中に貯蔵する方法が有力であるが、地震国であるため地中保存は最善策とは言い切れない。そこで、排ガス中の二酸化炭素を反応させて固定化する分離法を確立するために、本研究ではエピクロロヒドリンと二酸化炭素との反応による炭酸プロピレン化合物の合成について検討した。エピクロロヒドリンはバイオディーゼル油製造時の副生成物であるグリセロールからの合成が利用できる。始めにオートクレーブを用いて200℃でエピクロロヒドリンと二酸化炭素との無触媒反応を行った結果、生成物は1,3-ジクロロ-2-プロパノールであることがわかった。今後は二酸化炭素の圧力と反応温度の最適化を行う。次に、触媒反応について検討を行った。触媒としてテトラポルフィリンコバルトクロリドを使用した場合には、エピクロロヒドリンによって二酸化炭素を固定化できることを確認した。並行して、トリエチルアミンハイドロヨードを触媒として反応を行ったところ高収率で固定化ができることを明らかにした。しかしながら、これらの均相触媒では、プロセス化が困難なので、ロバストな固体触媒について検討したところ、窒素ドープカーボンが触媒特性に優れていることから、キトサンを原料とした窒素ドープカーボン触媒の合成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無触媒反応によるエピクロロヒドリンと二酸化炭素との反応は現在の実験条件では固定化収率が低いが、二酸化炭素の圧力及び反応温度を最適化することによって、収率の向上が期待できる。次に、触媒反応について検討したところ、トリエチルアミンハイドロヨードを触媒とした場合には高収率で二酸化炭素が固定化できることがわかった。しかしながら、二酸化炭素固定化のプロセス化を実現するためには、安価でロバストな固体触媒であり、再生利用が可能であることが望まれる。これらの条件をベースに触媒探索を行った結果、窒素ドープカーボンが有効であることがわかった。窒素ドープカーボンはカニやエビの外殻から生成するキトサンの炭化反応によって合成できることがわかった。現在は炭化条件について検討を行っている。こうして研究開始時には予測しなかった窒素ドープカーボン触媒が有用であることを見出しており、今後の研究が進むと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は窒素ドープカーボン触媒の最適化を試みる。触媒として有用な点は二酸化炭素の吸着点となるために多孔質化が望まれる。また、もう一つは窒素ドープカーボン中の窒素含有量の増大が触媒性能の向上につながると考えられ、これらの視点を基に炭化反応を最適化する。展開研究としてはカニの外殻を直接炭化することで窒素ドープカーボンを得る方法を探索する。プロセスの実現のためにはグリセロールからのエピクロロヒドリンの合成反応に関しても検討を行う。
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