研究課題/領域番号 |
22H01861
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中島 清隆 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (90451997)
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研究分担者 |
加藤 英樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60385515)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | バイオマス変換 / 固体触媒 / ルイス酸塩基 / 脱水反応 / 逆アルドール反応 |
研究実績の概要 |
グルコースやキシロースの脱水反応へ有効な触媒開発としては,ルイス酸塩基性質の制御に着目して検討を進めた.具体的には,金属酸化物のアニオン種を制御することにより,金属中心に由来するルイス酸性質とアニオン種に由来するルイス塩基性質を一元的に制御し,その活性‐構造相関を検討することにより,両性酸化物を基盤とした糖類の脱水反応に有効な固体触媒の設計指針を明確化することを目的とした.液相合成法によって調製した高表面積型の酸化ニオブおよびニオブ酸バリウムに対して,アンモニア流通下にて加熱処理して対応する窒化物および酸窒化物を調製した.ニオブ酸バリウムでは明確な活性向上が確認されなかったが,酸化ニオブではアニオン種の変更により同等の触媒回転頻度を示しつつ目的生成物の選択率向上がみられた.窒化ニオブの場合,アニオン種の制御と連動して3価,4価,5価のニオブ種によって構造が構成されており,選択性の向上は原子価の変化の影響も考えられた.そこで低原子価酸化ニオブであるNbO2を調製してその活性を評価したところ,類似した傾向が確認された.次年度以降はルイス塩基性質の影響について検討するが,活性向上の主要因としては4価のニオブ種に起因するルイス酸性質によるものであると推測している. グルコースの逆アルドール反応については,エタノール溶液内における金属酸化物触媒の系統r的なスクリーニングを実施した.ほとんどの触媒では,グルコースの異性化によりフルクトースが生成した.一方,Nb2O5,MoO3,WO3,Ta2O5においては,フルクトースの生成が認められず,目的生成物の収率が高い傾向にあった.転化率およびエリスロース,グリコールアルデヒド,マンノース(中間体)の選択率が比較的良好なNb2O5に着目して今後の検討を進めることとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画に従って順調に進捗しており,特に懸念事項はない.別予算で雇用する研究員の参画により,特に逆アルドール反応において大きな進捗がみられている.
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今後の研究の推進方策 |
①グルコースの逆アルドール反応 研究代表者独自のアプローチである「アセタール保護」を固体触媒反応プロセスに組み入れる検討にすでに着手し,その有効性を明確化しつつある.具体的には,アセタール化を促進するためのブレンステッド酸触媒の添加が重要であり,ある特定の構造因子をもつブレンステッド酸を同定しつつある.その触媒の添加により,最終生成物の収率・選択率が飛躍的に向上することも確認している.酸化ニオブと第2成分であるブレンステッド酸を利用し,反応基質であるグルコースからの副反応を抑制し,炭素-炭素結合開裂によって生成したエリスロースおよびグリコールアルデヒドのみを選択的に回収できる反応システムの基礎を構築する.本反応系では,適切なルイス酸とブレンステッド酸の組み合わせおよび反応場の分離が鍵となることが示唆されている.次年度は,反応基質の対象をその他の糖類へと拡大すると共に目的生成物収率の更なる向上を目指す. ②グルコースの脱水反応 触媒材料の探索研究を継続して進める一方,液相流通反応装置を活用した反応プロセスの構築を目指す.昨年度も装置の設計を進めたが,汎用的な固定床流通反応装置を適用することはできなかった.その要因は相分離した溶液を触媒層に導入することの不合理さにある.昨年度の経験に基づき,本年度は更に様々な液相流通反応装置を検討することとする.
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