研究課題/領域番号 |
22H01863
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
本倉 健 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (90444067)
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研究分担者 |
田中 真司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20738380)
田 旺帝 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (40344501)
中島 清隆 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (90451997)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 固定化触媒 / 金属錯体 / Pd錯体 / 水溶媒 |
研究実績の概要 |
2022年度の研究では、固体表面に導入した種々の金属錯体の反応特性を探るため、メソポーラスシリカ表面にPdジホスフィン錯体を固定した触媒を調製し、求核剤のアリル化反応を試みた。触媒反応の検討過程において、Pd錯体に加えて有機官能基を固体表面に導入することによって疎水性が向上し、水中でも安定にPd錯体を保てることを見出した。この特徴を活用して、水中で機能するPd錯体触媒の調製に成功し、水溶媒中での求核剤のアリル化反応触媒として発表した(Catal. Today 2023, 411-412, 113829)。また、メソポーラスシリカ表面にAl原子を導入することによって酸強度を増幅させることが可能であり、ここにPd錯体触媒を導入することによって、酸点とPd錯体が共存する反応場を構築できることを新たに発見した。この触媒はアリルアルコールの効率的活性化が可能であるため、特に置換基を有する反応性の低いアリルアルコールの反応においてさらなる触媒性能の向上が期待される。酸点の導入方法以外にも、担体の細孔径等が触媒反応に与える影響に関しても調査を進める。複数の金属錯体を導入した触媒に関しては、Pd錯体に加えてCu錯体を導入した触媒の開発に成功し、共同研究者の協力のもと、in-situ FT-IR測定、XAFS測定、固体NMR測定を実施し、調製した触媒の構造を精密に解析中である。複数の金属錯体を導入することで加速される触媒反応に関しても既に明らかにしており、この反応を中心に今後も研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初想定していた触媒の調製と、共同研究による構造解析を実施中である点。有機分子を導入した固定化金属錯体触媒を用いる反応で既に成果が出ている点から、研究は当初の計画以上に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
調製した複数の金属錯体を有する触媒の構造解析を進めるとともに、金属錯体の種類や表面での配置が触媒活性に与える影響を明らかにすることで、固体表面における複数の金属錯体が関与する触媒反応の加速効果の詳細を明らかにする。また、計算科学的手法を取り入れることで、触媒反応機構の予測を試みる。金属錯体だけでなく、有機官能基の導入や、担体のモルホロジー、担体表面の酸性質に関しても触媒性能の向上に寄与する可能性が高いため、この点も含めて研究を展開する。
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