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2023 年度 実績報告書

触媒ナノアセンブリによる低温酸化触媒の設計

研究課題

研究課題/領域番号 22H01866
配分区分補助金
研究機関名古屋大学

研究代表者

薩摩 篤  名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00215758)

研究分担者 沢辺 恭一  名古屋大学, 工学研究科, 講師 (80235473)
織田 晃  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80762377)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード触媒ナノアセンブリ / シングルアトム触媒 / 担体効果 / 小分子活性化
研究実績の概要

本申請研究では金属酸化物担体やゼオライト細孔内に金属を原子状で分散させたシングルアトム触媒に着目する.シングルアトム触媒は,100%の金属利用効率と, 全ての金属原子が担体酸化物と接して均一の活性サイトを形成している点から, 担持金属触媒の極めてシンプルなモデルとなる. 構造的な魅力と共に,特異的な触媒作用を発揮する「シングルアトム」触媒を対象として, 「シンプルな触媒系を用いて金属-担体相互作用を科学的な言葉で説明し, 意図した設計が出来ること」を高活性触媒での実証をターゲットとしている. 2023年度はシングルアトム触媒を水素化触媒にも展開した。水素キャリアとしてケミカルハイドライドが注目され中でもメチルシクロヘキサンートルエン系が有望視されている。水素の吸蔵-利用のための水素化-脱水素触媒にはもっぱら担持Pt触媒が用いられるが、Ptは希少で高価であるため有効利用が求められている。卑金属ナノ粒子を土台としてPtシングルアトム合金を形成することによりPtの有効利用が期待できる。本年度はCo/TiO2をベースとするPtシングルアトム触媒がPt当たりの水素化速度を従来のPt触媒の23倍まで高められることを見いだした. また, 触媒ナノアセンブリの新たな展開としてTiO2上にRuOxが自発的に単分子層を形成することを見いだした[業績2]. これはルチル型のTiO2とRuO2の結晶学的なフィティングが優れていることによる. 第2成分としてMn, Fe, Co, Ni, Cuを添加することにより単分子層のアスペクト比は変化し, Niの添加が最適であること, またCO酸化活性が最大となること見いだした. 単分子層触媒は引き続き検討する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

シングルアトム触媒による酸化反応の研究が当初の予定通りに進む中で、この触媒系が水素化・脱水素など他の触媒系にも有効であることを見いだしている。またシングルアトム触媒と同様に活性金属の原子効率100%で特異的な構造を持つ単分子層触媒の有効性を見いだしつつあり、新たな展開を含めて検討している。

今後の研究の推進方策

触媒ナノアセンブリには大きく分けて、(A)触媒を設計する課題と、(B)設計した触媒の有効性が発揮できる触媒系探索の課題、がある。(A)に関して、①酸化物担体への低濃度担持による形成, ②ガルバニック置換によるシングルアトムナノ合金粒子の形成により、シングルアトム触媒のアッセンブリが可能であることを明らかにしてきた。また③結晶学的整合性を利用したエピタキシャル単分子層の設計も見いだしつつあり、(A)触媒設計課題に関して当初の計画を達成することができた。最終年度である2024年度は(B)の触媒系探索課題に注力する。具体的には以下のように進める。
これまでの(1)シングルアトム触媒による高性能酸化触媒の開発に加えて, 昨年度実績をベースとして, (2)シングルアトム触媒の水素化-脱水素反応への展開, (3)単分子層触媒の展開を含めて検討する. (1)の酸化反応の課題に関してはCO酸化反応といった単純な酸化反応のみならず, 選択性の議論が可能なバイオマス由来物質の選択酸化などに応用する. また(2)シングルアトム触媒の水素化-脱水素反応への展開においては、担体効果に着目すると共に、脱水素反応にもシングルアトム触媒を展開する。(3)の単分子層触媒は反応系の幅を広げて他の環境触媒系の触媒反応において単分子層触媒のメリットが発揮できる触媒系を探索する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Breaking the Structure-Activity Relationship in Toluene Hydrogenation Catalysis by Designing Heteroatom Ensembles Based on a Single-Atom Alloying Approach2023

    • 著者名/発表者名
      A. Oda, T. Fujita, Y. Yamamoto, K. Sawabe, A.Satsuma
    • 雑誌名

      ACS Catal.

      巻: 13 ページ: 10026-10040

    • DOI

      10.1021/acscatal.3c02132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Self-organized defect-rich RuMOx epitaxial layers (M = Mn, Fe, Co, Ni, Cu) for catalytic applications2023

    • 著者名/発表者名
      A. Oda, R. Ichihashi, Y. Yamamoto, K. Sawabe, A. Satsuma
    • 雑誌名

      J. Mater. Chem. A

      巻: 11 ページ: 23854-23866

    • DOI

      10.1039/d3ta05078e

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tandem Base-Metal Oxide Catalyst for Automotive Three-way Reaction: MnFe2O4 for Preferential Oxidation of Hydrocarbon2023

    • 著者名/発表者名
      K. Maruichi, R. Sakai, K. Ueda, A. Oda, A. Satsuma
    • 雑誌名

      Catal. Surv. Asia

      巻: 27 ページ: 48-55

    • DOI

      10.1007/s10563-022-09373-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Unveiling Static and Dynamic Structures of Pd Clusters Influenced by Al2O3 Surfaces: DFT and AIMD Studies2023

    • 著者名/発表者名
      K. Murata, A. Oda, A. Satsuma, K. Sawabe
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. C

      巻: 127 ページ: 20267-20275

    • DOI

      10.1021/acs.jpcc.3c02483

    • 査読あり
  • [学会発表] 5-ヒドロキシメチルフルフラールを2,5-フランジカルボン酸に高効率で酸化するRu担持MnO2触媒2023

    • 著者名/発表者名
      近藤省吾, 織田晃, 沢邊恭一, 薩摩篤
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
  • [学会発表] 炭化水素燃焼反応におけるZnFe2O4結晶面特異性―性能比較と特異性の発現機構―2023

    • 著者名/発表者名
      山口泰知, 山本健介, Peng Zhao, 榊茂好, 織田晃, 薩摩篤
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
  • [学会発表] 担持PtCo合金触媒の担体効果の理解に基づくトルエン水素化プロセスの省貴金属化2023

    • 著者名/発表者名
      小川和佳, 織田晃, 薩摩篤
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
  • [学会発表] PdゼオライトからのNOx脱離温度に対する酸素分圧の影響2023

    • 著者名/発表者名
      大津岳士, 鷲山祥平, 津野地直, 織田晃, 薩摩 篤
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
  • [学会発表] Pdゼオライトの合成法と酸素分圧によるNOx脱離温度制御2023

    • 著者名/発表者名
      大津岳士
    • 学会等名
      自動車技術会2023年秋季大会
  • [学会発表] エタンからエタノールへの選択酸化反応におけるPt/r-TiO2の構造-活性相関2023

    • 著者名/発表者名
      木村友哉, 織田晃, 山本悠太, 沢邊恭一, 薩摩篤
    • 学会等名
      石油学会第53回石油・石油化学討論会
  • [学会発表] 水素キャリア触媒の寿命-活性トレードオフ関係からの脱却と省貴金属化に資する三元Pt単原子触媒の設計2023

    • 著者名/発表者名
      市橋晃生, 織田晃, 山本悠太, 沢邊恭一, 薩摩篤
    • 学会等名
      石油学会第53回石油・石油化学討論会

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公開日: 2024-12-25  

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