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2023 年度 実績報告書

水と空気から過酸化水素を合成する機能集積型樹脂半導体光触媒

研究課題

研究課題/領域番号 22H01867
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

白石 康浩  大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (70343259)

研究分担者 平井 隆之  大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (80208800)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード光触媒 / 過酸化水素 / 人工光合成 / 樹脂 / 半導体
研究実績の概要

レゾルシノール-ホルムアルデヒド(RF)光触媒樹脂の改良により、水とO2からの高効率H2O2製造に取り組む。非金属を用いる溶液プロセシングにより、(1) H2O2分解抑制機能の付与、(2) 樹脂の微粒子化(高比表面積化)、(3) 酸化助触媒の導入による水の酸化活性の向上、ならびに (4) 還元助触媒の導入によるO2の二電子還元選択性の向上、を柱とした触媒改良を進める。これらのRF光触媒樹脂への機能集積を通して、H2O2を安定的に、かつ高効率で合成するメタルフリー粉末光触媒の設計指針を導き出す。
2023年度は、汎用の親疎水性樹脂であるアンバーライトをRF光触媒樹脂に複合した。事前に粉砕・微細化したアンバーライト樹脂を含む水に、レゾルシノール、ホルムアルデヒドを加え、高温水熱合成することにより複合樹脂を合成した。複合樹脂は、アンバーライトを結晶核として成長するため、比表面積の大きな微粒子が生成する。そのため、複合していない場合の1.5倍の活性が発現することを見出した。光触媒活性はアンバーライトの複合量に依存する。過剰量の複合はより小さな樹脂粒子を生成させるが、絶縁体であるアンバーライトを多量に含むため導電性を低下させてしまう。そのため、適切な量のアンバーライトの複合が重要であることを明らかにした。さらに、in-situ赤外分光法によりRF光触媒樹脂上で進行する水の酸化、ならびにO2還元メカニズムの追跡を行った。水の酸化においては、骨格への-OH基の結合、-OHどうしのカップリングによるパーオキシド生成、O2の脱離を経て進行すること、O2還元においては、メチン基へのO2吸着と還元を経て進行することを確認し、提案どおりのメカニズムが進行することが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

合成したアンバーライト複合RF半導体樹脂が高い光触媒活性を示すことを見出した。さらに、高活性発現の要因を種々の分光分析により明らかにした。研究内容は投稿論文としてほぼまとまっている。当初の予定通りに研究を進めることができており、それゆえ区分(2)に該当すると判断できる。

今後の研究の推進方策

アンバーライト複合RF光触媒樹脂の成果を速やかに投稿論文としてまとめる。RF上での光触媒メカニズムを分光分析により明らかにし、これについても投稿論文としてまとめる。また、新たに開発を進めている、疎水化RF光触媒樹脂の開発について、有機/水の二相反応系へ本光触媒を添加し、触媒を有機相に保持したまま、純粋なH2O2水溶液を連続的に回収する新たなプロセスの開発を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Nafion-Integrated Resorcinol-Formaldehyde Resin Photocatalysts for Solar Hydrogen-Peroxide Production2023

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Shiraishi, Masahiro Jio, Koki Yoshida, Yoshihiro Nishiyama, Satoshi Ichikawa, Shunsuke Tanaka, and Takayuki Hirai
    • 雑誌名

      JACS Au

      巻: 3 ページ: 2237-2246

    • DOI

      10.1021/jacsau.3c00262

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Nafion/レゾルシノール-ホルムアルデヒド複合光触媒の調製と過酸化水素合成2024

    • 著者名/発表者名
      吉田光希、白石康浩、平井隆之
    • 学会等名
      第133回触媒討論会
  • [学会発表] イオン交換樹脂複合レゾルシノール半導体樹脂による光触媒型過酸化水素生成2024

    • 著者名/発表者名
      西山佳宏、白石康浩、平井隆之
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
  • [学会発表] Nafion複合レゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂光触媒による過酸化水素生成2023

    • 著者名/発表者名
      吉田光希、地黄将大、白石康浩、平井隆之
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
  • [学会発表] 過酸化水素生成におけるレゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂光触媒へのNafion複合効果2023

    • 著者名/発表者名
      吉田光希、白石康浩、平井隆之
    • 学会等名
      2023年光化学討論会
  • [備考] 14.備考 大阪大学大学院基礎工学研究科附属太陽エネルギー化学研究センター・平井研究室

    • URL

      http://www.cheng.es.osaka-u.ac.jp/hirailab/home.html

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公開日: 2024-12-25  

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