研究課題
本年度は、昨年度に引き続き、微生物の菌体表層にG6Pと親和性のあるタンパク質を発現させ、G6Pをキャプチャーさせることで菌体内の代謝が代わりシキミ酸経路が強化される現象に着目し、前年度構築した評価基盤をもとにその機構解明を進めた。これまでに得られた糖取り込み後の代謝物のいずれかが重要な役割を担っていること、および下流経路に存在するであろう別の代謝中間体が、代謝を変化させる働きをしていることの2点に着目し、PEPやピルビン酸、アセチルCoA周辺の代謝経路の破壊株を構築して評価を行った。予想された生育や生産量とはいくつか異なるデータが得られた。また、代謝経路だけでなく、導入したプラスミド及び発現遺伝子による影響も大きくなることがわかった。これより、培養条件及びエフェクタータンパク質の関与が重要であるとともに、フラックスの再配置が行われている可能性が示唆された。これらを引き起こす要因として、遺伝子発現の変動なのか、もしくは代謝物の影響なのかについて検討を行った。それぞれのコピー数が異なるプラスミドを用いて転写量を解析したところ、複製起点ではなく発現遺伝子の寄与が大きいことがわかった。この発現量の差を引き起こす主要因については現在検討を進めている。また、ジャー培養等の培養スケールによっても挙動が変動することが明らかになり、こちらは糖濃度の影響が大きく寄与している可能性が示唆された。これらの新しい因子の探索は次年度以降引きづつき進める。
2: おおむね順調に進展している
昨年度に引き続き新しいメカニズムについて可能性を見出すことができた点から、おおむね順調に進展していると判断できる。
引き続き、メカニズムの検討およびその知見をベースにした小分子について仮説をたててその検証を進めるとともに、新しい代謝工学技術としての基盤を確立する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件)
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