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2023 年度 実績報告書

わずかひと振りで目的化合物の生産性を向上させる代謝スパイスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H01880
配分区分補助金
研究機関神戸大学

研究代表者

田中 勉  神戸大学, 工学研究科, 准教授 (90436551)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード代謝工学
研究実績の概要

本年度は、昨年度に引き続き、微生物の菌体表層にG6Pと親和性のあるタンパク質を発現させ、G6Pをキャプチャーさせることで菌体内の代謝が代わりシキミ酸経路が強化される現象に着目し、前年度構築した評価基盤をもとにその機構解明を進めた。これまでに得られた糖取り込み後の代謝物のいずれかが重要な役割を担っていること、および下流経路に存在するであろう別の代謝中間体が、代謝を変化させる働きをしていることの2点に着目し、PEPやピルビン酸、アセチルCoA周辺の代謝経路の破壊株を構築して評価を行った。予想された生育や生産量とはいくつか異なるデータが得られた。また、代謝経路だけでなく、導入したプラスミド及び発現遺伝子による影響も大きくなることがわかった。これより、培養条件及びエフェクタータンパク質の関与が重要であるとともに、フラックスの再配置が行われている可能性が示唆された。これらを引き起こす要因として、遺伝子発現の変動なのか、もしくは代謝物の影響なのかについて検討を行った。それぞれのコピー数が異なるプラスミドを用いて転写量を解析したところ、複製起点ではなく発現遺伝子の寄与が大きいことがわかった。この発現量の差を引き起こす主要因については現在検討を進めている。また、ジャー培養等の培養スケールによっても挙動が変動することが明らかになり、こちらは糖濃度の影響が大きく寄与している可能性が示唆された。これらの新しい因子の探索は次年度以降引きづつき進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に引き続き新しいメカニズムについて可能性を見出すことができた点から、おおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

引き続き、メカニズムの検討およびその知見をベースにした小分子について仮説をたててその検証を進めるとともに、新しい代謝工学技術としての基盤を確立する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] Triacetic acid lactone production using 2-pyrone synthase expressing Yarrowia lipolytica via targeted gene deletion2023

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka Yuta、Fujie Naofumi、Nakano Mariko、Koshiba Ayumi、Kondo Akihiko、Tanaka Tsutomu
    • 雑誌名

      Journal of Bioscience and Bioengineering

      巻: 136 ページ: 320~326

    • DOI

      10.1016/j.jbiosc.2023.07.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] p-Nitrobenzoate production from glucose by utilizing p-aminobenzoate N-oxygenase: AurF2023

    • 著者名/発表者名
      Mori Ayana、Hirata Yuuki、Kishida Mayumi、Mori Yutaro、Kondo Akihiko、Noda Shuhei、Tanaka Tsutomu
    • 雑誌名

      Enzyme and Microbial Technology

      巻: 171 ページ: 110321~110321

    • DOI

      10.1016/j.enzmictec.2023.110321

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hydroxybenzoic Acid Production Using Metabolically Engineered Corynebacterium glutamicum2023

    • 著者名/発表者名
      Doke Misa、Kishida Mayumi、Hirata Yuuki、Nakano Mariko、Horita Mayo、Nonaka Daisuke、Mori Yutaro、Fujiwara Ryosuke、Kondo Akihiko、Noda Shuhei、Tanaka Tsutomu
    • 雑誌名

      Synthetic Biology and Engineering

      巻: 1 ページ: 1~9

    • DOI

      10.35534/sbe.2023.10010

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 油性酵母を用いた酢酸エステル生産技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      小柴歩実、田中勉
    • 学会等名
      酵素工学研究会 第90回講演会
  • [学会発表] Ⅲ型ポリケチド合成酵素 PhlD によるフロログルシノール生産2023

    • 著者名/発表者名
      堀田真代、田中勉
    • 学会等名
      酵素工学研究会 第90回講演会
  • [学会発表] 非天然ニトロ化合物生産に向けたN-オキシゲナーゼの活用2023

    • 著者名/発表者名
      森 彩菜、田中勉
    • 学会等名
      酵素工学研究会 第90回講演会
  • [学会発表] 分裂酵母を用いたアントラニル酸メチル生産技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      松本知歩、田中勉
    • 学会等名
      酵素工学研究会 第90回講演会
  • [学会発表] 代謝経路を分断した大腸菌による物質生産技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      野中大輔、田中勉
    • 学会等名
      酵素工学研究会 第90回講演会
  • [学会発表] 油性酵母を用いた酢酸エステル生産技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      小柴歩実、田中勉
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
  • [学会発表] 分裂酵母を用いたアントラニル酸メチル生産技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      松本知歩、田中勉
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
  • [学会発表] コリネ菌を用いたフロログルシノール生産技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      堀田真代、田中勉
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
  • [学会発表] N-オキシゲナーゼを活用した大腸菌による非天然ニトロ芳香族化合物の生産2023

    • 著者名/発表者名
      森 彩菜、田中勉
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
  • [学会発表] 大腸菌の代謝経路の分断による有用化合物生産技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      野中大輔、田中勉
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会

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公開日: 2024-12-25  

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