研究課題/領域番号 |
22H01907
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 亮 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (50613395)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ナノシート / 酸窒化物 / 酸フッ化物 / 誘電体 / 原子層材料 |
研究実績の概要 |
2022年度は,(1)窒化度を制御した酸窒化チタンおよび酸窒化ペロブスカイトナノシートの合成方法の検討,(2)酸フッ化ペロブスカイト固溶体ナノシートの合成,(3)ナノシートの電子構造評価,を実施した.(1)前駆層状化合物の窒化条件を変えることでその剥離によって得られるナノシートの窒化度制御を試みた.酸窒化チタンでは,合成条件による窒化度の違いはほとんど見られなかった一方で,酸窒化ペロブスカイトでは,窒化時に加える炭酸塩の量を増加させると,窒化度が高くなることが確認された.また窒化処理により,剥離が容易なDion-Jacobson相から剥離が困難なRuddlesden-Popper相への転移が窒化と共に進行するが,洗浄によりDion-Jacobson相へ戻ることが明らかとなった.これら一連の実験により,窒化度を制御した単結晶性酸窒化ペロブスカイトナノシートの合成に成功した.(2)既報のSrNb2O6F-ナノシートの合成を参考にし,(Ca, Sr)(Nb, Ta)2O6F-ナノシートの合成を試みた.合成条件の調節することにより,SrTa2O6F-ナノシートを作製に成功し,また,Nb体と同様に,そのコロイド溶液が,近紫外領域に発光を示すことが示唆された.Ca体においては異相が析出してしまうことから,合成条件の更なる検討が必要であった.(3)導電性基板に積層させたナノシートを用いて,紫外および逆光電子分光,反射電子エネルギー分光による電子構造評価を試みた.膜厚が薄い場合は基板の影響が,膜厚が厚い場合はチャージアップによる影響が確認された.加えて,文献調査などにより,基板とシートの相互作用による影響も加味しなければならないことが示唆され,更なる検討が必要であることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸窒化物ナノシートの窒化度の制御や酸フッ化物ナノシートの合成を達成しており,おおよそ予定通り研究が進行した.また副次的に得られた合成の成果について,2報論文がアクセプトされており,これらの点から,合成面では,本研究課題は順調に進展していると判断される.電子構造評価についても,ナノシートに対して前例のない手法でのアプローチを試みているにも関わらず,積極的な情報収集と成果発信により,一定の成果があること,また,今後の方針が見出されていることから,順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
酸窒化物については,引き続き合成方法による窒化度の制御を試みるとともに,幅広い電子構造および窒化度制御を狙い,固溶体の合成や異種カチオンと窒化物アニオンによる電荷補償型元素置換を試みる.酸フッ化物については,固溶体の合成に加え,発光特性評価や第一原理計算を用いたバンド構造計算による電子構造評価を実施する.加えて引き続き光電子分光法による電子構造評価を実施し,当初の予定どおり研究を推進していく.
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