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2022 年度 実績報告書

遷移金属ダイカルコゲナイド原子層を酸化前駆体とする機能性酸化物超薄膜の創出

研究課題

研究課題/領域番号 22H01914
配分区分補助金
研究機関関西大学

研究代表者

山本 真人  関西大学, システム理工学部, 准教授 (00748717)

研究分担者 上野 啓司  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40223482)
麻生 亮太郎  九州大学, 工学研究院, 准教授 (40735362)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード二次元物質 / 原子層物質 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / 機能性酸化物 / 不揮発性メモリ
研究実績の概要

2022年度は温度可変オゾン処理装置を導入し、第5族および第6族の遷移金属ダイカルコゲナイド原子層のオゾン酸化処理による機能性酸化物超薄膜の形成とそのデバイス応用を試みた。まず、オゾン処理によって表面酸化した二セレン化タングステン(WSe2)を用いた抵抗変化メモリの作製を行った。電極上に転写したWSe2にオゾンを200℃で照射することで表面に極薄の酸化タングステン(WOx)膜を形成し、その上に電極を作製することで二端子素子構造を完成させた。作製したWOx/WSe2二端子素子の電流-電圧特性を評価したところ、ユニポーラ型の抵抗変化メモリ動作を示すことが分かった。2023年度は、抵抗変化メモリの動作速度や繰り返し耐性などのメモリ特性評価を行うとともに、抵抗変化メモリ動作の酸化膜厚依存性および電極材料依存性について詳細に調べる。
また、2022年度は二セレン化バナジウム(VSe2)のオゾン酸化による機能性バナジウム酸化物超薄膜の合成も試みた。その結果、VSe2にオゾンを曝露することによって五酸化バナジウム(V2O5)を形成することに成功した。今後は、V2O5薄膜を用いたトランジスタの作製と評価を行う。一方、VSe2を大気中200℃以下で処理するとVSe2表面にアモルファスのバナジウム酸化物(VOx)薄膜が形成されることが分かった。また、得られたVOx/VSe2を二端子構造化させると、WOx/WSe2と同様にユニポーラ型抵抗変化メモリ動作することが分かった。2022年度はVOx/VSe2抵抗変化メモリの特性評価を重点的に行う。以上のように2022年度はVSe2の酸化によって、機能性VOxやV2O5を形成することに成功した一方で、本来作成を目指していた強相関物性を示す二酸化バナジウム(VO2)の形成には至らなかった。そこで2023年度はプラズマ処理装置を新たに導入し、VSe2のプラズマ酸化処理を行うことによってVO2超薄膜の形成を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は抵抗変化メモリ動作を示すWOx/WSe2およびVOx/VSe2薄膜の形成に成功したため。

今後の研究の推進方策

2023年度は、2022年度に作成に成功したWOx/WSe2およびVOx/VSe2薄膜を用いた抵抗変化メモリの動作速度、繰り返し耐性、保持特性などの評価を行う。また、それぞれの抵抗変化メモリ動作の酸化膜厚依存性・電極材料依存性を詳細に調べる。さらに原子間力顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、X線光電子分光法を用いた構造解析・組成分析を行うことで、低電圧メモリ動作が可能な酸化条件を決定する。
また、2023年度は2022年度に達成できなかったVSe2の酸化によるVO2超薄膜の形成も試みる。具体的にはプラズマ酸化を用いることでVO2の作製を目指す。さらに2023年度は、二セレン化ニオブの均一酸化処理法も開拓し、絶縁体-金属相転移酸化物として知られる二酸化ニオブの超薄膜の作成を試みる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 分子吸着ドーピングと表面酸化によるWSe2の局所キャリア制御2023

    • 著者名/発表者名
      四方 沢弥, 稲田 貢, 谷口 尚, 渡邊 賢司, 上野 啓司, 山本 真人
    • 学会等名
      第70回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 1T-VSe2の表面酸化膜を用いた抵抗変化メモリの作製2023

    • 著者名/発表者名
      中村 優太, 稲田 貢, 谷 弘詞, 上野 啓司, 山本 真人
    • 学会等名
      第70回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 二次元WSe2の自己制限酸化膜を利用した抵抗変化メモリの作製2023

    • 著者名/発表者名
      寒川 雄斗,稲田 貢, 上野 啓司, 山本真人
    • 学会等名
      第70回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] VO2の化学気相成長における最適原料-基板間距離の検討2023

    • 著者名/発表者名
      後藤 新悟, 稲田 貢, 谷 弘詞, 山本 真人
    • 学会等名
      第70回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 反応性蒸着酸化アルミニウム膜による黒リンFETの大気安定化2023

    • 著者名/発表者名
      吉峯 夕貴,小田 太一, 稲田 貢,山本 真人
    • 学会等名
      第70回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] Oxidation-engineering of 2D semiconductors2022

    • 著者名/発表者名
      Mahito Yamamoto
    • 学会等名
      第63回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 二次元WSe2電荷トラップメモリにおけるシナプス動作2022

    • 著者名/発表者名
      櫛原 快児, 稲田 貢, 谷口 尚, 渡邊 賢司, 上野 啓司, 山本 真人
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会
  • [学会発表] 二次元WOxをトラップ層とするMoS2電荷トラップメモリの作製2022

    • 著者名/発表者名
      野村 尚哉, 稲田 貢, 上野 啓司, 山本 真人
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会
  • [学会発表] HMDS処理による黒リンの表面安定化の検討2022

    • 著者名/発表者名
      小田 太一, 稲田 貢, 山本 真人
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会

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公開日: 2024-12-25  

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