研究課題/領域番号 |
22H01922
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
西山 雅祥 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10346075)
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研究分担者 |
八木 俊樹 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (40292833)
佐藤 裕公 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (40545571)
今井 洋 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (60391869)
松浦 宏治 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (70443223)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 鞭毛 / 高圧力顕微鏡 / 運動マシナリ / 分子操作 / ナノバイオ |
研究実績の概要 |
真核生物は鞭毛と呼ばれる長い繊維状の運動器官をもち、波打ち運動を発生させることで遊泳運動を行う。本研究課題では、高圧力下で鞭毛運動がどのように活性化されるのかその作用機序を明らかにする研究に取り組む。令和5年度は、1) 高圧力下にある精子鞭毛の構造と振動運動を可視化する装置開発、2) 鞭毛運動の解析を行った。1)では、画素数の多いCMOSカメラを選定し(設備備品)、精子の鞭毛運動を長時間追跡可能にした。高圧力観測装置と組み合わせることで、活性化された鞭毛運動を長時間にわたり観測し解析できる実験系として活用できる。また、高圧力下で心筋細胞を観察し、細胞内のCa2+濃度が上昇することなく収縮することを確認した。2) 高圧力下でヒト精子の鞭毛運動を活性させる技術を開発した。真核生物鞭毛は細胞内Ca2+濃度に依存しての波打ち運動を変化させる。Ca2+をキレートした水溶液でヒト精子を希釈した後、高圧力をかけた。常圧力に戻した後、精子の遊泳運動を確認したところ、遊泳速度は加圧前よりも上昇することが判明した(国内特許出願)。高圧力を負荷したことで細胞内Ca2+濃度が変化したと推察される。この知見は過去の結果(単細胞緑藻クラミドモナス, マウスの心筋細胞)とは異なり、生物種による応答の違いが明らかになった。本研究で開発した手法は、誰でも扱える簡便な装置で実施可能であり、特殊な化学物質や遺伝子組換え体を必要としない。そのため、精液採取所や生殖補助クリニックの臨地にて使用できるため臨床応用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまで開発してきた高圧力技術を活用し、ヒト精子の鞭毛運動を活性化できた(国内特許出願)。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト精子の活性化を生みだした作用機序を明らかにする研究を通じて、臨床応用に適した条件を探索する。
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