研究課題/領域番号 |
22H01946
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸山 伸伍 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80732362)
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研究分担者 |
宮寺 哲彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (30443039)
廣芝 伸哉 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40635190)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 有機薄膜 / 液晶 / 結晶成長 |
研究実績の概要 |
有機材料が示す多様な前駆体状態(融液、液晶、柔粘性結晶、非晶質など)を活用し、真空蒸着法により高品質な有機単結晶薄膜を作製する技術を開発すること。さらに、開発した技術をデバイス等へ応用する。 計画1:液晶相を前駆体相として用いた結晶化技術として、真空蒸着したC8-BTBT薄膜において、ポストアニールによるスメクチック液晶相からの結晶化を利用した大型ドメイン作製技術を確立した。特に温度勾配の精密な制御と種結晶を用いることで、単に液晶相から結晶化させた時と比較して面内配向が揃った、ミリメートルスケールの結晶を作製することができた。さらに、ほぼ単一ドメインの結晶において、トランジスタを作製し、結晶方位と移動度の相関があることを確認した。これらの成果を論文発表した。 計画2:計画1と同様の手法をC8-BTBT以外の材料に展開し、高秩序液晶相をもつペリレンジイミド誘導体PTCDI-C8の大型グレイン作製を試みた。ポストアニール処理の温度勾配により、結晶成長方向を制御できることは確認できたが、結晶は放射状の成長となり、単一ドメインとならなかった。一方、蒸着温度を工夫することで、面内配向はランダムと考えられるが数100μm程度の比較的大きな結晶を作ることに成功した。また、この結晶の表面は、分子ステップをもつ平坦な表面であることを確認した。 また、計画にはなかったが、基板の一部に蒸着した液晶材料において、未蒸着部分に先行膜が成長する現象を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画1については当初の予定していた計画の一部を達成した。計画2については、実験装置の真空ポンプの故障があり、新しいポンプの入手に時間がかかったため繰越処理を行い、4ヵ月程度の遅れが生じたため、当初の計画よりも遅れている。しかし、2023年度に入り、ポンプを交換した後、順調に成果はでており、研究計画全体での遅れは取り戻せると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のような方策で研究を進める予定である。 計画1:ペリレンジイミド誘導体PTCDI-C8の大型グレイン作製と、その平坦な表面を利用した有機分子エピタキシーの可能性を探る。 計画2:C8-BTBTの液晶からの結晶化過程において、通常ランダムな方位で形成する種結晶の形成過程を工夫することで、成長結晶の面内結晶方位を揃える試みを行う。 計画3:基板の一部に蒸着した液晶材料において、未蒸着部分に先行膜が成長する過程をより詳細に観察する。
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