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2022 年度 実績報告書

エピタキシャルフッ化物薄膜電池のモデル界面を活用したフッ素の輸送機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 22H01953
配分区分補助金
研究機関東京工業大学

研究代表者

清水 亮太  東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (70611953)

研究分担者 関場 大一郎  筑波大学, 数理物質系, 講師 (20396807)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード金属フッ化物 / フッ化物イオン電池 / エピタキシャル成長
研究実績の概要

本研究では、全固体フッ化物イオン電池における電極・電解質材料内部やそれらの界面でのフッ素輸送機構のボトルネック解消に向け、薄膜技術を活用した全エピタキシャルモデル電池の作製と評価を目指している。
2023年度は、不純物置換量も含めた任意組成のフッ化物成膜に対応できるエピタキシャル成膜技術の開発に取り組んだ。具体的には、予め原料ターゲットの組成制御が容易なスパッタ法に着目し、「ターゲット作製」「成膜時のフッ素欠損抑制」「エピタキシャル成長」のそれぞれの素過程の確立を行った。対象とした材料は、固体電解質のLa1-xBaxF3-xであり、所望の組成(x=0, 0.05, 0.10, 0.20)のLaF3とBaF2を秤量し、粉砕混合・圧粉成型によるスパッタ向けのターゲット作製が可能であることを見出した。フッ素欠損の抑制には、CF4ガスを成膜中に部分的に混合することが有効であることを確認した。
これらの過程を踏まえた反応性スパッタ法により、CaF2(111)単結晶基板上にLa1-xBaxF3-x(x=0, 0.05, 0.10, 0.20)エピタキシャル薄膜の作製に成功した。なお、バルクにおいてはx=0.20ではタイソナイト型と蛍石型に相分離することが知られているが(固溶限界)、蛍石型のCaF2(111)基板上では、単一の蛍石型La0.80Ba0.20F2.8(111)エピタキシャル薄膜が得られ、エピタキシャル安定化の効果を示すことができた。これらのエピタキシャル薄膜のF-イオン伝導度を測定したところ、~10-5 Scm-1(@室温)を得た。これは、バルク材料と同等であり、全固体フッ化物電池への転用が十分可能である。
このように、望みのフッ化物の原料ターゲットを容易に作製できること、十分なF-イオン伝導度を有するエピタキシャル薄膜が得られたことから、来年度への順調な進捗が期待できる結果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

固体電解質であるLaF3に複数の組成のBa置換したLa1-xBaxF3エピタキシャル薄膜の作製した。バルクでは相分離をするx=0.20においては、単相の蛍石構造のLa1-xBaxF3エピタキシャル薄膜の作製に成功し、フッ化物における薄膜成長の新しい知見を得た。
さらに、BaドーピングのF-イオン伝導率への影響を調べたところ、x=0.05, x=0.10において、~10-5 Scm-1のイオン伝導率の観測した。これは、今後の全エピタキシャルフッ化物電池構築に向けて最重要となる固体電解質の薄膜作製に成功していることを意味しており。今後の多層膜化による薄膜電池構築が大いに期待できる成果である。

今後の研究の推進方策

2022年度にLa1-xBaxF3エピタキシャル薄膜の作製に成功したため、2023年度は電極材料のエピタキシャル薄膜性に取り組む。具体的には、BiF3のエピタキシャル薄膜作製に取り組む。BiF3は蒸気圧が比較的高いことと、La1-xBaxF3と異なり元素置換の必要がないため、スパッタ成膜だけでなく分子線エピタキシー法の導入も並行して検討し、高品質な薄膜作製を目指す。
また、全固体電池だけでなく、液系の電池作製も試み、BiF3薄膜電極を用いたフッ化物イオン電池の検証を目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] CF4支援マグネトロンスパッタ法による La1-xBaxF3-xエピタキシャル薄膜作製と評価2022

    • 著者名/発表者名
      深津圭佑、清水亮太、XinDai、大井あすか、小林成、西尾和記、一杉太郎
    • 学会等名
      第12回CSJ化学フェスタ
  • [学会発表] CF4支援反応性スパッタ法による La1-xBaxF3-xエピタキシャル薄膜作製とF-伝導特性評価2022

    • 著者名/発表者名
      深津圭佑、清水亮太、大井あすか、小林成、西尾和記、一杉太郎
    • 学会等名
      電気化学会第90回大会

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公開日: 2023-12-25  

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