近年の原子間力顕微鏡(AFM)の技術発展に伴い、固液界面構造の3次元サブナノスケール計測や秒スケールで生じる動態の原子・分子分解能観察が可能となった。一方で、その画像解析や探針制御については従来のAFMと同様の手法が用いられており、比較的弱い力で表面上に吸着・拡散するイオン・分子を十分な解像度や速度で可視化することが未だ困難である。本研究ではデータ科学手法を3次元AFMデータへ適用することで、従来のAFMの性能限界を超越した超解像化解析及び高速観察を実現する。 今年度はデータ科学手法による解析手法の基礎検討に取り組んだ。Pythonを用いて、機械学習による3次元AFM画像の分類・特徴抽出アルゴリズムを構築した。これにより、フォースカーブの形状(ピークの位置や数)などを捉えられる可能性を見出している。ただし、多くの不具合が残っており、その正確性には未だ難が残されていることから、次年度は信頼性を向上させるための修正に取り組む。 また、このような解析をリアルタイムに実現するためのAFMコントローラの仕様設計を行った。ここでは、高速性及び低ノイズ性を重視し、さらに必要十分な数の入出力端子(AD/DAインターフェース)も備えた仕様としている。ただし、電子部品の入手が難航しており、その構築までには至っていない。そのため、次年度以降も引き続きコントローラ開発に取り組み、その性能評価を実施する予定である。
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