研究課題/領域番号 |
22H01958
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
浦岡 行治 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20314536)
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研究分担者 |
上沼 睦典 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (20549092)
Bermundo J.P.S 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60782521)
來福 至 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60936871)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 三次元構造 / 高集積回路 / 酸化物半導体 / 原子層堆積法 |
研究実績の概要 |
次世代メモリデバイスとして、強誘電体メモリ(FeFET)への関心が高まっており、3次元積層構造を持つFeFET(3D-FeFET)が提案されている。AOSを3D-FeFETに適用するにはALD技術が必要である。従来のAOSは4元系が主流であり、低温成膜が必要なディスプレイ用途に設計されてきた。そのため、高温熱処理(≧500℃)が電気特性や信頼性に及ぼす影響に関する知見の蓄積が不十分であり、3D-FeFETへの応用に向けてAOS組成の見直しが必要である。また、ALD法による複合酸化膜の成膜は技術的に困難であり、4元系から構成元素を減らした3元系が有望と推察される。本研究では、3D-FeFETに実装可能なAOSの実現を目指し、3元系In-X-Oにおける添加元素Xがアモルファス相の熱安定性や電気特性に及ぼす影響を評価した。また、In-X-Oを半導体層として用いたHfO2系強誘電体デバイスを作製し、その動作を検証した。その結果、高温の窒素雰囲気中で熱処理することで、AOSから酸素が脱離し、キャリア密度が増加すると考えられた。In-Ga-O(IGO)系を用いることで、しきい値電圧を0V付近に制御できることがわかった。また、IGOは600℃までアモルファス相が維持され、電界効果移動度25cm2/Vs、S値69mV/decadeに代表される優れた電子輸送特性が得られることが確認された。また、AOSがHfO2の強誘電相を誘起するキャップ材として機能することも報告されている。本研究では、IGOをキャップ材としてHf0.5Zr0.5O2(HZO)を結晶化し、IGO/HZO/TiN構造を持つキャパシタを作製した。明確な強誘電性が確認され、IGOがキャップ材料として使用可能であることが示された。以上より、IGOは強誘電体であるHfO2プロセスと親和性の高い3元AOSとして有望であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画が妥当であったことと、研究メンバーの頑張りで、予定通りの成果が得られた。その結果、多数の学会発表や論文投稿ができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、アスペクトの高い3次元構造基板に、高い移動度をもつIGZO薄膜を均一に形成する条件をプリカーサの選定や形成条件(導入の時間制御、温度、プラズマの有無)などを最適化する。プロセスが比較的容易な液体ソース+加熱供給型のプリカーサから選定を始めて成膜を行う。またプリカーサがアルキル系の場合残留炭素は膜質を低下させるため、オゾンを酸化種として用いる。初期検討ではInEt3,GaMe3,ZnEt2がいずれも加熱型でオゾンを酸化種として用いることができるので候補である。ALD法で堆積されたIGZO膜を使って、通常の平板トランジスタを作製し、その移動度やリーク電流を評価する。この時に、ボトム型とトップゲート型の両方を作成することで、縦型トランジスタに移行した時の課題を前もって予想する。さらに、初期性能だけでなく、ドレイン電界を高くしたホットキャリア効果やドレイン電流を高くしたジュール熱による劣化現象をエミッション顕微鏡や赤外線顕微鏡を使って詳細に評価する。平板トランジスタで品質を評価できたALD-IGZO膜を使って、縦型トランジスタを試作する。この時にチャネル膜として、スパッタ法による膜を比較することで、ALD膜の優位性を評価する。
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