研究課題/領域番号 |
22H01977
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三谷 武志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90586306)
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研究分担者 |
江藤 数馬 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (70711828)
窪谷 茂幸 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (70583615)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 炭化ケイ素 / 高品質化 / 貫通らせん転位 / 溶液成長法 / 昇華再結晶法 / ハイブリッド成長 |
研究実績の概要 |
SiC結晶品質を飛躍的に向上しつつ製造コストの削減を目指し、溶液成長法と昇華再結晶法の利点を組み合わせたハイブリッド成長に係る研究開発を推進した。 今年度はまず溶液成長法で形成した転位変換層について、表面マクロステップ構造のオフ角依存性、また溶媒組成依存性について詳細に調査した。Si、Si-5mol%Al、Si-5mol%Ti、Si-5mol%Nb溶媒に対して解析を行ったところ、Alは他の溶媒と比較して3μm未満程度のマクロステップではステップ端傾斜角が数度と小さく滑らかな成長界面を形成しやすいが、一方でそれ以上に大きいマクロステップに発達した場合にはSiやSi-Ti、Si-Nb溶媒よりも大きい傾斜を有する切り立ったステップ端構造へ変化することが明らかになった。溶液成長による貫通らせん転位(TSD)の変換効率向上にはステップ端傾斜角の増大が必要であり、Al添加溶媒でのマクロステップ形成が変換率を向上させ、且つ引き続く昇華再結晶成長での転位伝播の制御に有効であることが示唆された。 昇華再結晶成長で基底面欠陥の排斥効率を調べるため、溶液成長による転位変換を行わず、0度から45度オフのシード結晶に直接昇華再結晶成長を行った場合の欠陥伝播挙動を調査した。その結果、オフ角の増大とともに単調に基底面欠陥への変換率が向上し、45度オフではほぼ全ての貫通らせん転位が基底面欠陥に変換することが分かった。一方、あらかじめ溶液法でTSDを基底面内に変換した場合には、8度オフではTSDに再び戻ってしまうが、15度オフでは基底面欠陥として排斥できる。15度オフ以上では昇華再結晶成長開始時における欠陥構造(TSDか基底面欠陥か)が伝播挙動に強く影響し、TSD―基底面欠陥の構造変化における活性化障壁が欠陥伝播の安定化をもたらしていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
溶液法、昇華法を組み合わせたハイブリッドプロセスにてTSDを高効率に低減するため、転位変換効率及び転位排斥工程での欠陥伝播挙動に着目して研究を進め、TSD―基底面欠陥の構造変化挙動と活性化障壁の関係性について明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は種々溶媒を用いた溶液成長で変換した基底面欠陥の欠陥構造を詳細に調査し、溶媒組成(マクロステップ構造)によって昇華再結晶成長時の排斥効率がどのように変化するか(基底面欠陥からTSDへの再変換を抑制できるかどうか)について調査する。また、4インチ径での実証に向け、主に溶液成長実験のスケールアップ検討を加速させる。
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