研究課題/領域番号 |
22H01985
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
白川 晃 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (00313429)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ファイバーレーザー / コヒーレントビーム結合 / 位相同期 / モード同期 / 超短パルスレーザー |
研究実績の概要 |
1.可飽和吸収体による位相同期モード同期Yb添加7コアマルチコアファイバー(MCF)レーザーについて、分散制御によるモード同期の高品位化、高度化を目指した。発振器内に透過型回折格子対を配置し、まずは全体の分散をほぼゼロ分散としストレッチドパルス動作を試みた。出力2.0 W、繰り返し周波数 34.4 MHz、パルスエネルギー58nJ を得た。しかしスペクトル幅は拡大せず、ストレッチドパルス動作には至っていない。またin-phase モードを選択励振できていない。高次スーパーモードに関しても吸収飽和し発振してしまっているためで、飽和フルエンスがより高い可飽和吸収体が位相同期には必要であることを明らかにした。 2.MCFのスーパーモード間で群速度が異なることを用いた時間領域モード選択の実証を目指し、まずYb添加マルチモードファイバー(MMF)を用いた能動モード同期レーザーを構築し、時間領域モード選択実験を行った。直径19ミクロンのYb添加MMFと音響光学変調器(AOM)を用いてリング共振器を構築し、変調周波数掃引により空間モードが明瞭に変化することを観測した。モード同期の起きる変調周波数の範囲が約11kHzであり、計算値の約10kHzとほぼ一致していることを確認した。モード同期が不安定で空間モードの純度も不十分なことから、自由空間部からファイバー部への再結合でモード混合が起きていることが考えられ、更に高度な共振器設計が必要という今後の課題を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共振器内分散制御マルチコアファイバーレーザー、リング共振器能動モード同期レーザーというともに難度の高い実験系で、モード同期レーザー発振、空間モード変化を得ることができた。課題を特定することができたため、2年目はこの解決に注力することができる。
|
今後の研究の推進方策 |
位相同期モード同期マルチコアファイバーレーザーに関しては、飽和フルーエンスの高い可飽和吸収体を導入し、また共振器構成を見直して、ストレッチドパルスモード同期動作を目指す。またリング共振器を用いた共振器構成も試行し、全正常分散下における散逸性ソリトンまたはシミラリトン発生の検討を行う。 時間領域モード選択に関しては、光線追跡ソフトZEMAXを用いて自由空間部の収差を計算し、光学系の最適化、モード混合割合の定量化を行う。
|