研究課題/領域番号 |
22H01997
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
柏木 謙 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (10509730)
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研究分担者 |
稲場 肇 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (70356492)
大久保 章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (30635800)
清水 祐公子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (30357222)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 光周波数コム / 光コム / 分光計測 / デュアルコム分光 / ガス分析 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、2種の光コムを用いた高速かつ高分解能なデュアルコム分光システムについて、縦軸(強度情報)を高精度化する技術と得られた干渉信号データの処理技術を開発している。2022年度は初年度であるので、要素技術を確立することを主に検討を進めた。 分光測定結果の縦軸(強度情報)を高精度化するためには、使用する光源の強度が安定であることが肝要である。本研究課題を含むデュアルコム分光システムでは、光コムの各モードの情報を分解して測定するため、光源の平均強度だけではなく光コムの各モードが安定であることが重要である。我々が開発したデュアルコム分光システムでは短時間で測定が行えるため、測定環境の変化による擾乱を受ける前に測定が完了する結果、光コムの各モード成分の長期的な強度揺らぎの影響が抑えられることがわかった。一方で、短期的な強度揺らぎ(強度雑音)は改善の余地があり、これが改善されれば平均化をせずとも高い信号対雑音比が得られるので、この改善のための光フィルタの構築を平行して進めている。 ガス分析の測定対象としてアセチレン分子(13C2H2)を封入したガスセルを用いた。信号取得用の光コムの光路にガスセルを挿入した場合と挿入していない場合で干渉波形を測定し、それらの比を計算することで透過率を計算した。これらの測定に要した時間は各200 msである。アセチレン分子のν1+ν3バンドの吸収線P枝のうち21本を測定し、透過率スペクトルにフィッティングを施すことで算出した各吸収線の中心周波数は先行研究の結果と1~10 MHzのオーダで一致した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初懸念していた光コムの各モード強度の長期揺らぎについて、本研究課題のデュアルコム分光システムの高速性により、ガスセルの有無の場合を測定するための2回分の測定時間であっても光コムの各モードの強度揺らぎが顕在化する前に測定が完了することがわかったため。
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今後の研究の推進方策 |
測定結果の強度情報の精度を向上するために、2台の光コムの短期的な強度雑音の低減を図る。そのための光フィルタの開発や実験系の改良を引き続き進める。 平行して測定可能なスペクトルの波長範囲を拡大するために、計算と実験の両面から検討を進め、光コムのスペクトル帯域をさらに拡大する。
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