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2022 年度 実績報告書

リチウム6同位体濃縮の為のハイブリッドカスケーディングシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H01999
配分区分補助金
研究機関弘前大学

研究代表者

佐々木 一哉  弘前大学, 理工学研究科, 教授 (70631810)

研究分担者 高橋 伊久磨  千葉工業大学, 工学部, 准教授 (60820793)
向井 啓祐  京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (70807700)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードリチウム / 同位体濃縮 / 電気透析
研究実績の概要

本研究は、基幹発電システムとして期待される核融合炉の実現への最大課題である、質量数6のリチウム同位体(6Li)の濃縮技術開発に資する。我々は、電気透析技術に基づく新たな6Li濃縮原理を考案し、1段ごとには大きな同位体濃縮率を達成した。6Li同位体比率を90%以上とするには、1段ごとの同位体濃縮率をさらに大きくかつ安定に実施する方法を見出し、またそれを繰り返し実施するカスケーディング装置を開発する必要がある。
本研究の主な目標は、①世界初のカスケード電気透析6Li濃縮の実現、②1段セルの6Li濃縮率の向上、である。
R4年度は、主に以下の実験研究を行った:(A)単段を連結するカスケード装置での同位体濃縮と、それによる課題の明確化、および(B)単段の同位体濃縮率向上のための方法の検討。
(A)の検討では、単段を5つ直列に連結したカスケード装置で同位体濃縮では1段目と5段目では同位体が濃縮されるものの、その間の2~4段目では同位体濃縮が生じないことが判明した。これはマスバランスを保つために生じる現象であり、カスケード装置の実現には、各段で生じる濃縮液と希釈液を循環させることが有効であると推定された。(B)の検討では、電解質膜の両表面間に印加する電位差を小さくすることで同位体濃縮率を大きくできることが判明した。また、一次側あるいは二次側の溶液中に副電極を配置し、副電極と電解質表面の電極との間に電位差を与えることで、電解質の両表面間の電位差をゼロ(短絡状態)としてもリチウム移動が生じることを明らかにした。本方式では、最も大きな同位体濃縮率が期待されると推定できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

単段の同位体濃縮率を大きくする方法には目途がたった。これまでに有効性を確認してきた間欠印加方式、逆電位を印加して吸着イオンを剥離する方式、電解質膜を冷却する方式、等との組み合わせによる、最適な電気透析方法を検討中である。
一方、カスケード装置の設計に関しては、マスバランスを計算しながら、各段の濃縮溶液や希釈溶液を適切に循環する経路を検討中である。単純な直列連結式では、初段に莫大な量のリチウム溶液を用いても、最終段で得られる同位体濃縮液は極めて少量となる課題があった。これは、装置が非常に大きくなるとともにエネルギーコストが低下するといった経済的問題につながる。イオン交換膜を用いるイオン濃縮に関する既報を更に調査し、新たな方式で繰り返し同位体濃縮が可能となりそうであるとの推定に至った。新方式では、これらの問題への対応も同時に検討している。

今後の研究の推進方策

各段の濃縮溶液や希釈溶液を適切に循環する還流型の電気透析については、定性的には実現できそうな方式の発想に至った。R5年度前期中に、溶液速度やイオンの膜移動速度、単段における同位体濃縮率を一定と仮定した上でマスバランスを計算する。その後、5段程度の装置を試作し、年度末までの間に実際に電気透析を実施する。同位体濃度をICP-MSで分析し、考案する還流型カスケード装置で同位体濃縮が可能であることを確認する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] La0.57Li0.29TiO3電解質隔膜を用いた2電源3電極方式電気化学ポンピング法によるリチウム回収性能の印加電圧依存性2022

    • 著者名/発表者名
      丹羽栄貴,新村潔人,田副博文,佐々木一哉
    • 学会等名
      第48回固体イオニクス討論会

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公開日: 2023-12-25  

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