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2023 年度 実績報告書

高分子フォトニック結晶型ユビキタス核種分析デバイスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H02004
配分区分補助金
研究機関東京工業大学

研究代表者

塚原 剛彦  東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10401126)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードフォトニック結晶 / 金属イオン / センシング / 機能性ポリマー
研究実績の概要

ガラス等の基板上にダム構造を作製した後、そこにコアシェル粒子を分散させた水溶液を導入することで、コアシェル型高分子フォトニック結晶膜を基板上に集積する手法を確立した。コアシェル粒子は、コアにポリスチレン(PS)を、シェルにポリアクリル酸ポリマー(poly(acrylic acid))を採用したものを合成した。作製した膜を原子間力顕微鏡にて測定したところ、均一な粒子が配列しており、フォトニック結晶(PC)が形成されていることを確認した。ここに水を滴下し、デジタルカメラ等による画像解析および反射光スペクトル測定を実施した。その結果、乾燥状態では高輝度な青色を呈するPCが、純水の滴下によって緑色に変化することが分かった。この時、470 nm付近にある乾燥状態の反射光スペクトルピークは、含水によって15分程度で600 nm付近までレッドシフトした。poly(acrylic acid)シェルが膨潤し、高分子フォトニック結晶の格子間隔が広がったことを示している。
作製したフォトニック結晶膜に対し、様々な金属イオン(1価セシウム、2価ストロンチウム、3価ランタン、3価セリウム、3価ルテチウム)を含む水溶液を滴下し、その色変化及び波長変化の測定を実施した。その結果、1価セシウムの反射光スペクトルに殆ど濃度依存性は見られなかった。2価ストロンチウムでは、濃度増加に伴って波長は連続的に変化し、100uM の添加で100 nm近い反射光シフトが確認された。一方、ランタノイド元素では、低濃度領域で一時的な長波長シフトが起こった後、50 uMの添加で200 nm程シフトするが、シフト量は飽和する様子が観測された。濃度に対して直線的な関係があるのは、10uM程度までであることから、低濃度領域の分析精度が高いことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り、フォトニック結晶ポリマー膜の作製と金属イオンセンシング性能の評価を実現している。

今後の研究の推進方策

金属イオンへの選択性を向上させるため、ポリマーシェルにリン酸官能基やピロリドン官能基等を含む機能性ポリマーを採用する。また、PC膜の安定性を向上させるため、コアシェル溶液をガラス基板に滴下・乾燥するだけでなく、基板上で温度や光反応によってフィルム化する。さらに、PSをコアに使うフォトニック結晶では、最密充填構造を取れるため反射光強度が強く、作製が容易であると言うメリットがある反面、結晶形成時にクラックが発生し、分析精度が落ちるという課題も明らかとなってきた。一方、コアにシリカ粒子を使うと、粒子間の静電反発によって非最密充填構造を取るため、反射光強度はPSよりも低下するが、フォトニック結晶のクラックが起こりにくく、高精度な粒子制御及び測定が可能になる可能性もある。そこで、今後は、PSコアのみならず、シリカコア型のフォトニック結晶を作製すると共に、そのフィルム化を推進する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Ultra-Sensitive Detection of Uranyl Ions Using Lab-on-a-Chip Surface-Enhanced Raman Spectroscopy2023

    • 著者名/発表者名
      Wakana Yonekura, Naokazu Idota, and Takehiko Tsukahara
    • 学会等名
      International Symposium on Zero-Carbon Energy Systems
    • 国際学会
  • [学会発表] 高感度ウラン分析を志向したオンチップ型TLC-SERSデバイスの創製と性能評価2023

    • 著者名/発表者名
      米倉和花奈 、井戸田直和、塚原剛彦
    • 学会等名
      ナノ学会第21回大会
  • [学会発表] 表面増強ラマン散乱を利用したオンチップ型高感度ウランデバイスの開発2023

    • 著者名/発表者名
      米倉和花奈 、井戸田直和、塚原剛彦
    • 学会等名
      原子力学会2023年秋の大会

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公開日: 2024-12-25  

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