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2023 年度 実績報告書

酸化物触媒活性中心の原子スケール構造可視化

研究課題

研究課題/領域番号 22H02024
配分区分補助金
研究機関東北大学

研究代表者

若林 裕助  東北大学, 理学研究科, 教授 (40334205)

研究分担者 宮崎 晃平  京都大学, 工学研究科, 准教授 (10512783)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード酸化物薄膜 / 界面構造 / 放射光
研究実績の概要

まず,表面構造の解析手法に関する論文を一報,Phys. Rev. Mater.誌に掲載した。内容的には昨年度の報告書の内容であり,出版が23年4月となった。
23年度の研究目的は,充分な平滑度が得られる(La,Sr)CoO3超薄膜に対する界面構造解析 及び電気化学環境下での表面回折データ取得,電気化学反応に必要な電流を流すことが可能な(La,Sr)CoO3厚膜の構造解析及び厚膜の表面回折データ測定に加え,NdNiO3薄膜に対する水素吸蔵過程の計測であった。
(La,Sr)CoO3超薄膜に関しては,真空中での表面・界面構造解析は試料評価の一環として実施可能な段階に入り,そこまでキャラクタライズした超薄膜に対して電気化学条件下での表面回折測定を,KEK放射光施設で実施した。このin-situ測定では試料へのダメージがあって難航していたが,24年2月にようやく信頼に足るデータが取れた。
(La,Sr)CoO3厚膜については,薄膜構造解析の手法を確立して論文を投稿中,構造解析用のデータを取得し,画像処理まで終わった段階で23年度が終わった。今後,解析を完了して早期に成果報告を行う。電気化学の影響については,ex-situの測定は完了,in-situ測定が今のところうまく行っていないが,超薄膜と同じやり方で再挑戦する予定である。
NdNiO3の水素化の影響については,KEK放射光施設にてデータ取得を一度行い,必要なソフトウェアの開発段階にある。ただし,この試料については非常に弱い信号が出ているようであり,追加測定が必要であろうという事が現段階で明らかになっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の一番の難所と思われた,試料表面に大きなダメージのない測定条件が発見できた。まだ成功例が24年2月の一度しか無いが,再現性良くこの条件で計測ができる事が確認できれば,この先安定してこの種の研究を進められるようになる。

今後の研究の推進方策

(La,Sr)CoO3超薄膜に関しては解析を完了して成果発表をする。24年度中に完全に解析を終わらせ,できれば論文投稿までを目指す。(La,Sr)CoO3厚膜に関しては,構造解析の完了,in-situデータの取得を目指す。in-situの解析完了は25年度を見込む。これらの成果に対して,24年度中に国際会議報告を数件予定している。
NdNiO3の水素化については,得られたデータから,水素導入の効果がいくらか見えているが,構造乱れも検出されており,乱れを含んだ解析が必要であるかも含め検討を進める。24年度中に取得済みのデータ解析を行って,充分な質のデータが取れているかを明らかにしつつ,SPring-8でのコヒーレント回折測定の実行可能性をチェックする。25年度末の研究完了までの間に,(La,Sr)NiO3超薄膜の電気化学環境下での表面構造解析,電極としてよく動作する厚膜の電気化学環境下での表面構造解析を報告できる見通しで,NdNiO3の水素吸蔵に関しては水素の有無による構造変化の観測,その基板依存性までは到達予定である。水素移動のダイナミクスがコヒーレント回折で見えるかは24年度の実験で明らかになる。電気化学条件でのコヒーレント回折は25年度に挑戦予定であり,化学反応に伴う原子スケールの物質移動が観測できる事を期待している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Quantitative Measurement of Structural Fluctuation at the Metallic and Insulating Interfaces between LaNiO3 and LaAlO32023

    • 著者名/発表者名
      Nagai Kazuki、Anada Masato、Kowa Kazuhiro、Kitamura Miho、Kumigashira Hiroshi、Tajiri Hiroo、Wakabayashi Yusuke
    • 雑誌名

      Physical Review Materials

      巻: 7 ページ: 043604

    • DOI

      10.1103/PhysRevMaterials.7.043604

    • 査読あり
  • [学会発表] Structural Investigation of an Oxygen Evolution Catalyst La1-xSrxCoO3 film2024

    • 著者名/発表者名
      Xuhui Xu, Atsuro Fujisawa, Yuta Ishii, Hidekazu Shimotani, Yuta Inoue, Yuto Miyahara, Kohei Miyazaki, and Yusuke Wakabayashi
    • 学会等名
      第37回日本放射光学会年会・ 放射光科学合同シンポジウム
  • [学会発表] 電気化学環境下での酸素発生触媒(La,Sr)CoO3超薄膜の構造2023

    • 著者名/発表者名
      藤澤 篤朗,徐 旭暉,石井祐太,下谷秀和,井上 雄太, 宮原雄人 , 宮崎 晃平,若林裕助
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会

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公開日: 2024-12-25  

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