研究課題/領域番号 |
22H02031
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
唯 美津木 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (70396810)
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研究分担者 |
DAM HieuChi 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70397230)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オペランド計測 / 三次元イメージング / XAFS / 多孔性材料 / 吸着拡散 |
研究実績の概要 |
固体触媒や多孔性材料などの活性固体材料内の構造と化学状態を可視化する高感度オペランド三次元XAFS分光イメージングを開発し、活性固体材料の動的機能を生み出す金属種の分布、酸化状態、局所配位構造の三次元空間分布のイメージングを通じた反応現象の解明を目指している。本年度は、多孔性MOF材料の一つであるMOF-74結晶を対象とし、ゲスト分子の吸着反応過程をオペランドXAFS分光イメージング計測によって明らかにすることを目指した。 多孔性MOF材料内のゲスト分子の吸着に伴う挙動を明らかにするために、オペランド計測が可能な反応セル、システムを作成し、ガス分子の導入と連動したXAFSイメージング計測システムを立ち上げた。CoとMn, ZnをオープンメタルサイトにもつMOF-74結晶をそれぞれ合成し、キャピラリー内に孤立させた結晶粒に対し、細孔内のゲスト分子を脱離させたのち、作成したセルを用いて水分子を室温で導入し、結晶内部の孔をゲスト分子が拡散していく様子をXAFSイメージングにより捉えた。各金属の吸収端前のX線吸収量の増加から、細孔内に取り込まれたゲスト分子の量を算出し、吸収端後のXANESスペクトルの変化から、オープンメタルサイトへのゲスト分子の配位量を算出した。両者の比較により、MOF-74結晶の一次元細孔内を拡散するゲスト分子の挙動と配位を明らかにした。またインフォマティクスによって、計測したイメージングビッグデータの解析処理を進め、MOF粒子内の吸着拡散の速度定数、反応過程を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オープンメタルサイトへの配位吸着が起こるMOF-74結晶について、Co, Mn, Zn等の複数の金属を用いた結晶を合成した。金属ごとに結晶径が大きく異なり、単純な比較が難しいが、XAFS分光イメージングが可能なサイズの結晶が得られているものについては、予定通りの検討ができる見込みである。実測したデータにおいては、オペランド計測時のX線に対する試料の位置変動が見られたが、解析方法を検討しており、適切な方法でデータ解析ができる見込みが立っている。
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今後の研究の推進方策 |
オペランドXAFSイメージングによる反応現象の解明のために、物質合成、イメージング計測、イメージングビッグデータ解析の3つを並行して進めており、それぞれの結果を相互にフィードバックしながら、効率的な研究推進を行う。
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