研究課題/領域番号 |
22H02043
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
板倉 隆二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, グループリーダー (80334241)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 電子ダイナミクス / 光電子干渉 / 位相計測 / 極短パルスレーザー / アト秒 |
研究実績の概要 |
本研究はレーザー電場中の電子波動関数について位相を含めた複素振幅の変化を明らかにし、波動関数の実時間変化を可視化することを目指している。そのため、光電子干渉計測を行い、そこから光電子波動関数の複素振幅の変化を直接観測することが本研究の計画である。令和4年度は、まず、1光子でイオン化を起こすことができる真空紫外・極端紫外波長領域の干渉計の開発を行った。高次高調波発生部、空間ビーム分割のためナノメートル精度で位置を制御できるシリコン2分割ミラー、高調波集光用シリコントロイダルミラーを接続・配置することのできる真空チャンバーを設計した。真空チャンバーは、光学素子が配置されるチャンバー内の光学テーブルとターボ分子ポンプが接続されたチャンバー本体はベローズやフレキチューブにより振動が直に伝わらないように分離した設計とした。設計したチャンバー製作やホルダー、外部から駆動可能な並進・回転ステージなど必要物品の手配はほぼ終わった。 光電子・光イオン同時運動量画像計測装置については、これまで開発・運用してきた装置とサブ 10 fs パルスを用いた計測試験を行い、検出器のイオン、電子それぞれの検出効率を評価した。また、搬送波包絡線位相をレーザーショット毎にタグ付けするための検出器も自作し、位相情報を時間情報に変換し、各レーザーショット毎のイオン、電子の信号を取り込んでいる時間-デジタル変換器で同時に取り込めるようにした。その結果、測定後のデータを位相毎にソートして、位相の関数としてデータを分類することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
真空紫外・極端紫外干渉計において高精度に遅延時間を制御するために肝となるナノメートル分解能のピエゾステージが、世界的な半導体不足の影響を受け、納期に1年近い遅延が生じることになった。そのため、干渉計の構築が予定していた1年目に完了できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
干渉計の肝であったナノメートル分解能のピエゾステージが予定通りに入手できなかったのは痛手ではあったが、稼働範囲は狭くなるものの同じ分解能を持つ国産のピエゾステージが令和5年7月には入手できる目途がついた。真空紫外・極端紫外干渉計の構築に遅れはでているものの、ステージ以外の部分は手配が済んでおり、令和5年度中に遅れは取り戻せる範囲である。また、光電子・光イオン同時計測装置に位相のタグ付けを組み込むことができ、位相安定化をする必要がなくなったことにより、今後の測定を加速することができる。
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